「給付金を取りにいけ」

清志氏が従業員に指示を飛ばしたのは、’20年10月の初め頃だった。最初に狙いをつけたのが、中小企業庁の「家賃支援給付金」である。その申請要領によると、’20年の緊急事態宣言以降、いずれかひと月の売り上げが前年同月と比べて50%以上減った企業などを対象に、最大で600万円を支給する制度だという。ただ、10月時点で、トライベイはこの条件を満たしていなかった。前年と比べても遜色ない収入が見込まれていたのである。

清志氏らがこうした点について議論をしていると、執務室から出てきた瑠麗氏が口を挟んだ。

「売り上げなんて、数カ月ずらして操作すればいい。ばか正直に計上しなくたっていい」

受給条件に合うよう、売上額を減らして申請すればいいというのだ。そのうえで瑠麗氏はこうも言い放った。

「政府なんて、ばらまいてナンボでしょう。国がカネをタダでくれるんだから、もらいにいかない手はない」

https://friday.kodansha.co.jp/article/300006