シリコンバレー銀行破綻は氷山の一角、世界金融危機に発展してもおかしくない
金利が急騰していない日本以外、世界中の銀行が似たような状況に

(略)
 今回破綻したSVBに話を戻しましょう。

 同行が破綻に至るステップは、大きく次の4つに分けられます。

この1年半、IT業界ではレイオフが拡がると同時に、ベンチャーキャピタルの資金調達が減少した
ハイテク業界の苦境を知る預金者は自らの資産を引き出し始め、資金繰りに窮したSVBは、含み損を抱えた210億ドル相当の債券売却を余儀なくされた
このため18億ドルの債券で実現損が発生し、その穴を埋めるべく増資を発表した
その途端に株価は前日比6割も暴落し、さらに預金が流出した
 つまり問題の本質は、銀行が預金の引き出しをカバーするため、含み損を抱えた債券等を売却せざるを得なかったことにあります。

米銀が抱える含み損は自己資本の28%にも
 先日、FDICが発表したデータによると、米銀は2022年末時点で債券ポートフォリオに6200億ドル(約84兆円)もの含み損を抱えています(図3)。

これは自己資本の28%にも相当する前代未聞の莫大な金額です。もちろん、途中売却しない限り、
その損失は表面化しませんが、総資産(約23兆6000億ドル)の4分の1を債券(約5兆9000億ドル)が占めており、
平均5年とされる債券の償還期限まで資金が固定してしまうのです。
急激な預金流出に対応せざるを得なかったSVBのように、売った瞬間に莫大な損失を計上することになるので、売りたくても売れないのです。

そんな状況下にあって、銀行預金と預入期間が同じである短期国債の利回りが急騰しているのです。
これでは銀行預金が減少するのは当然です。

 全米の銀行預金は22年3月末のピークから同年12月末にかけて3.6%も減少しました。
このため資金繰りが窮した銀行は、預金金利を大幅に引き上げて資金を調達するか、SVBのように損失覚悟で債券を売るしかありません。

低金利前提のビジネスモデルが崩壊
 さらに悪いことに長短金利が逆転しています。(略)

 今回、SVBの破綻で、米銀が抱える債券含み損の問題がクローズアップされましたが、
長期金利が急騰していない日本を除けば、世界中の銀行が同じ悩みを抱えているのです。
つまり、いつ世界的な金融危機に発展してもおかしくないということです。

 それもこれも、元をたどれば金利の上昇が原因です。1981年から2020年まで趨勢的に
下がってきた金利が本格的に反転したことは、これまで39年間、低金利の持続を前提に構築されてきた
ビジネスモデルが崩壊したことを意味します。それだけに筆者は、SVBの破綻は大きな金融危機の始まりだと考えています。
詳細はソースで
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/74332