トリクルダウンが起きなかったのは、非正規労働者や中小企業に恩恵が波及しなかったことが大きい。格差を実感してきた当事者が10年間の思いや課題を語った。(畑間香織、渥美龍太)

東京都内で住宅内装業を担う企業の契約社員、大橋翼たすくさん(41)はこの10年間を「豊かな人が豊かになり、貧しい人はもっと貧しくなった」を振り返る。
戦後2番目の長さの好景気を含む期間だが、「景気が良くなった実感はない」という。

早朝から深夜まで1日に3、4件は現場で作業をし、長時間労働は当たり前。会社は売り上げを伸ばしているように見えたが、残業代の削減などの「賃下げ圧力があった」。
他の契約社員と未払い残業代の請求などをするようになったといい、「交渉しなければ、奪い取られるだけの10年だった」と実感を込める。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/237801