今年の春~夏ごろに予定される東京電力福島第一原発での処理水の海洋放出をめぐり、北朝鮮の工作機関が韓国の協力者に「汚染水の放出で東海(日本海)が汚染される」とのメッセージを拡散し、韓国の世論を扇動するよう指示した疑いがあることが韓国公安当局の捜査でわかった。情報機関・国家情報院や検察などは対日感情を悪化させ、日韓関係の改善を阻む狙いがあったとみている。

 韓国の公安当局は、2月1日に革新系の政治活動団体「自主統一民衆前衛」の幹部ら4人を国家保安法違反容疑で逮捕。ソウル中央地検は15日に、北朝鮮工作員の指令に従い、在韓米軍の撤退を主張する反米集会や尹錫悦(ユンソンニョル)政権の退陣を求めるデモなどを行ったとして、4人を同法違反罪で起訴した。

 国家情報院や検察などは、北朝鮮の韓国への工作機関である朝鮮労働党文化交流局(旧225局)が主導したとみている。

 検察関係者らによると、団体幹部らは2021年5月ごろに北朝鮮の工作員から電子メールで指示書を受信。今回の起訴内容とは別に、捜査の過程で処理水の海洋放出によって「東海(日本海)が汚染される」「魚を妊婦が食べれば、胎児に影響を与える」「怪物が出現する」といった趣旨のデマをSNSを通じて拡散させるよう指示されていたことがわかっており、違法性について捜査を進めている。

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