https://mainichi.jp/articles/20230316/k00/00m/040/101000c
「事実確認せずに好き放題配信されてしまう。正直とても怖かった」――。ガーシー元参院議員に動画投稿サイトで脅迫された被害者が毎日新聞の取材に応じた。
警視庁に昨秋、刑事告訴したのは東京都のジュエリーデザイナー、福谷公男さん（47）。ガーシー元議員とは約20年前に知人を介して知り合った。親しく付き合うようになり、当時、ガーシー元議員が都内で経営していたバーにもよく通っていたという。ただ、
関係は薄れ、最近では連絡を取るのも年に1回程度になっていた。
2022年4月11日。突如、ガーシー元議員は自身のユーチューブチャンネルで、福谷さんの交友関係などを激しい口調で責め立てる内容の動画を配信した。チャンネル登録者数は100万人超。約13分間の動画は、瞬く間にSNS（ネット交流サービス）などを通じて拡散し、視聴者らによる福谷さんへの攻撃が始まった。家族の写真も出回り、脅迫めいた書き込みも相次いだ。「事実無根の内容で恐怖しかなかった。言いたい放題で、反論もできなかった」
ガーシー元議員の動画は、仕事にも大きな影響を及ぼした。東京・表参道でジュエリーショップを営んでいたが、電話やSNSで脅迫や中傷が殺到。信用が失墜してブランド継続が不可能となり、22年4月に事業撤退に追い込まれた。「あの動画のせいで今までの努力が無駄になった。人生が潰された。本当に絶望した」
福谷さんはガーシー元議員の刑事告訴の準備に取りかかり、昨秋、警視庁に告訴状を提出し、受理された。
一方、ガーシー元議員からの中傷は告訴後も続いた。今年2月、福谷さんが刑事告訴したことを知ったガーシー元議員は、動画配信で福谷さんの名前を挙げた上で、「われの写真をきっちり上げたるからな」「絶対に許さない」と言い放った。
福谷さんは「刑事告訴したからには、しっかりと闘っていきたい。それが僕の今後の人生の糧につながると信じている」と語った。
