CAがひれ伏しかけた超有名男性の礼儀、JAL在籍25年で見たのは一人だけの究極作法
 
搭乗が始まると多くのお客様が列をなして飛行機に乗り込みます。CAはドアサイドでお客様お一人おひとりにごあいさつをしながらお出迎えします。CAにとってボーディング時は、座席案内や手荷物の収納のお手伝いなど超多忙を極める時間帯です。
お客様の中には、明るく「おはよう。よろしくね」とお返事を返してくださる方、笑顔で会釈を返してくださる方、無言で頭だけ下げる方など反応はさまざまです。中には、目も合わせず飛行機に乗り込み、ご自分の座席に突進していく方もいらっしゃいます。

ある著名人がお辞儀だけで強烈な印象を残したワケ
そして、今でも強く印象に残っているのが、ファーストクラスにお乗りになったある著名な男性のお客様です。
ファーストクラスでは、お客様がご搭乗になりご自分の座席にお座りになると、チーフパーサーがお一人おひとりの座席に伺い搭乗お礼のごあいさつをします。お客様がご自分のお座席で一息つかれていらっしゃる状態のところにチーフパーサーが伺うのです。
離陸前でお客様はシートベルトをした状態ですので、ほとんどの方は座ったままチーフパーサーのあいさつにお応えになるのですが、そのお客様は違いました。
私が、「○○さま、本日はご搭乗いただきましてありがとうございます。私は客室責任者の山本と申します。飛行中ご用がございましたら、ご遠慮なくお申し付けください」とごあいさつしたところ、いきなり立ち上がり、「よろしくお願いします」と深々と頭を下げ丁寧にお辞儀をされたのです。
長年チーフパーサーとしてフライトしてきましたが、後にも先にも立ち上がってお辞儀をされたお客様はこのお客様ただ一人です。地位も名誉もある誰もが知る著名人ですが、ご自分の立場におごることなく、誰に対しても謙虚に頭を下げ丁寧にお辞儀をされるお姿には威厳があり、思わずひれ伏してしまうような感覚になったことを覚えています。
驚きともに豊かな人間性を垣間見ることができ、本当に頭が下がる思いがしました。

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