ロシアのウクライナ侵略を受けて国連人権理事会が設置した国際調査委員会は１６日、「露当局が幅広い戦争犯罪や数多くの国際人道法違反に関与した」と結論付ける報告書を発表した。
開会中の理事会で近く報告する。
調査委は露当局に対し、侵略や民間人に対する暴力をやめるよう求めた。
侵略に戦闘員を派遣する露民間軍事会社「ワグネル」を念頭に、名指しを避けつつ「民間軍事会社は頻繁に国際法違反に関与する」と指摘し、紛争への参加を制限するよう要求した。
調査委は、首都キーウ周辺や東部ハルキウ州など広範囲にわたって、民間人や捕虜、ウクライナ軍関係者らに対して拷問が行われていたと報告した。
電気ショックや殴打、性的暴行、ビニール袋で窒息させるなど手口が類似していることから「露当局が組織的に拷問を行った」と断定した。
露軍が昨年１０月以降に激化させている発電施設などを標的にした攻撃も組織的で広範囲に及び、「人道に対する罪に相当する可能性がある」と指摘した。
ウクライナに対しては、今後の賠償請求に備えて被害者登録の仕組みをつくり、透明性を担保した捜査・訴追戦略を定めるよう勧告した。
調査委のメンバーはウクライナの都市や集落計５６か所を訪れ、破壊現場や拷問場所、墓地などを詳しく調べた。
拷問や監禁の被害者や目撃者、エストニアやジョージアに逃れた避難民ら５９５人から計６１０回の聞き取り調査を行った。
https://www.yomiuri.co.jp/world/20230317-OYT1T50103/
