関連団体を設立して5000万円の寄付上限逃れ 日医連による麻生派への高額献金問題 小分け、迂回も駆使
2023年3月19日 06時00分

 日本医師会(日医)の政治団体・日本医師連盟(日医連)とその関連団体が自民党麻生派へ計5000万円の高額献金をしていた問題で、このうち4000万円を献金していた「国民医療を考える会」は、政治資金規正法の寄付の上限規制を逃れるために設立されたことが、日医連関係者への取材で分かった。(杉谷剛、中沢誠)

 規正法では、政治団体間の寄付を5000万円までに制限している。日医連は毎年、都道府県の医師連盟から計10億円近い寄付を集めているが、東京など金額が大きい医師連盟は日医連に5000万円を寄付した上で、さらに「第2の受け皿」である考える会に寄付していた。

 政治資金収支報告書によると、2021年11月30日、東京都医師政治連盟は約4880万円を、神奈川県医師連盟は980万円を考える会にそれぞれ寄付した。両医師連盟は同じ日に日医連にも各5000万円を寄付していた。

 東京都医政連の関係者は「寄付の上限を超えないよう日医連に5000万円、残りは考える会に分けている」と話した。献金を振り分けることで事実上、上限額の倍近い寄付をしていた。

 考える会は21年、両医師連盟からの寄付収入と1億円近い繰り越しの中から、9月27日に4000万円を麻生派に献金。日医連も4日後に1000万円を麻生派に献金した。

 考える会は11年に設立され、16年までは日医会長が日医連委員長と同会の代表を兼任したが、17年から同会の代表は日医の常任理事が務める。日医連と所在地や電話番号が同じで日医連が事実上運営する。

 考える会への寄付は主に東京、神奈川、大阪の各医師連盟が行っている。17年以降を見ると、日医連に5000万円を寄付した上で、東京は毎年4900万円前後を、神奈川は1000万円前後を寄付。大阪は17年の約240万円から年々減り21年はゼロだった。

 日医連関係者によると、会員数の多い医師連盟は寄付額が大きくなるため、第2の受け皿として考える会が設立された。日医連も同会も献金先や金額は最終的に日医連の委員長が決めているとされ、麻生派への高額献金は日医連の幹部の間でも、あまり知られていなかったという。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/238857