「Z世代のリーマン・ショック」がやってくる!

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 クレディ・スイスの「今、そこにある危機」は回避された。米国でも、破綻したシリコンバレー銀行の預金は全額保護されたし、経営不振のファースト・リパブリック銀行には、JPモルガン・チェースなど金融大手11社が計300億ドル(約4兆円)の支援の手を差し伸べた。

 しかし、これで無事終了というわけではない。今回の背景にはFRB(米連邦準備制度理事会)の急激な利上げも指摘されている。
中央銀行が金融引き締めを続ける限りは、次の事件が起きる可能性があるし、そうなった場合、リーマン・ショックに匹敵する金融危機に発展するリスクは常にある。

 クレディ・スイスは、スイスのGDP(国内総生産)の7割以上の資産を持つ、欧州最大級の金融コングロマリットである。
しかし、近年の同社に関しては悪いニュースばかりで、米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントや英投資会社グリーンシル・キャピタルとの取引失敗では、80億ドル(約1兆1,000億円)以上もの巨額損失を被っている。
損失の合計額は同社の年間収益の2.5倍以上に相当し、信用力に大きな打撃を与えた。

 これは、欧州の銀行セクター全体というよりも、クレディ・スイスのビジネスモデルの問題である。とはいえ、同社はグローバルにビジネスを展開しているため、金融市場全体に深刻な影響を及ぼすリスクがあった。そのような時に、米国でシリコンバレー銀行とシグネチャー銀行が破綻したのだ。

 クレディ・スイスが両行と密接な取引関係にあったことで経営不安の噂が瞬く間に広がり、同社の株価が暴落した。
説明会見を開いた時にはもう遅かった。
2008年のリーマン・ショックと今との大きな違いは、情報がソーシャルメディアを通じてあっという間に世界中に拡散することだ。
しかも悪い噂ほど「増幅」されて伝わる。