福島第一原発の処理水放出向け設備でトラブル 弁の閉止不十分で混入
東京電力は20日、福島第一原発(福島県)で、処理水の海洋放出前に基準を満たしているか確認するためのタンクに、別のタンクの水が流入したと発表した。二つ並んだ弁がいずれも完全に閉まっていなかったという。政府と東電は夏までに海洋放出を始める方針。放射性物質の濃度を均質にして測定するため、17日からタンク内の攪拌(かくはん)作業をしていた。
東電によると、問題となったタンクには、大半の放射性物質を取り除く多核種除去設備(ALPS)で処理した汚染水が入っている。
計画では30基のタンクを、10基ごとにA群、B群、C群に分け、それぞれ(1)受け入れ、(2)測定、(3)放出をローテーションして使う。測定の前には各タンクの底部に付けた機器でかき混ぜる。当面、攪拌作業は144時間(6日間)以上するという。
今回はB群について17日午前11時ごろから作業を開始。19日午前0時ごろ、今回測定の対象ではないA群の一つのタンクで、水位が約10センチ(約8トン分)減っていることに気づいた。タンクをつなぐ配管の電動弁が二つとも完全に閉まっていなかったため、A群の汚染水がB群のタンクに流れ込んだとみられるという。
東電は「その時に放出しようとする水だけを分析することが大事で、混ざってしまうのは問題なので運用面の見直しを検討する。放出時期への影響はないと考えている」と説明している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c2f0f2ceded0635d564c21528a94bb8f82acaf63