息子3人が高校をスキップして京大へ 宝槻徹さん「型破り」教育法とは

宝槻徹(ほうつき・とおる)さん
国際基督教大学(ICU)在学中に学習塾を開き、30代で教育ソフト・ベンチャーを起業。現在は京都で「想像力向上」「思考力育成」をモットーにした学習塾「プラトン学園」の代表を務めている。

大切なのは「興味の種」をまくこと

進学校に通っていた高1の長男が「学校をやめたい」と言ってきたときは、全く反対しませんでした。受験を見据えた演習の授業ばかりで、つまらないと感じるのは当たり前だと思ったからです。それで、中3だった次男にも「高校は行かず、大学入学資格検定(当時)を取ればいいのでは」と勧めました。長男が高校をやめた後には、中学生だった三男にも学校を休ませ、家族で欧米の美術館や博物館を回る2カ月の長期旅行に出かけました。時間をかけて、本物の芸術に触れさせるいい機会だと思ったのです。

学校を否定するつもりはありません。楽しいなら通えばいい。でも、子どもが学校に行きたくないと言うなら、親は世間の常識にとらわれず、向き合えばいいというのが私の考えです。

幼いころは、「興味の種」をたくさん準備しようと心がけてきました。歴史マンガや大河ドラマをたくさん見せ、柱時計や無線で操縦する自動車を分解して動く原理を考えさせ、「七人の侍」や「ニュー・シネマ・パラダイス」といった名画を繰り返し見せました。いつ、どんなことに興味を持つか分かりませんし、学ぶ意欲は知的好奇心から生まれるからです。

3人の息子が小学生のときには、東京で経営していた学習ソフトの開発会社を畳み、一家で栃木県、その2年後には宮崎県へと引っ越しました。自然の中で釣りやキャンプをして、失敗を重ねながら自分たちの手で遊びを作り出す喜びを感じてほしいと思ったのです。

勉強にも口を出しました。国語や英語など語学の学習は、「理解しよう」とせず繰り返しによって脳に刻み込むように、文章の音読を徹底させました。

語学以外の教科では、新たに得たことを過去の経験や知識と関連づけるように促しました。大航海時代の訪れとモンゴル帝国の衰退には密接な関連がある、といったことを知れば知識がつながり勉強の面白さを実感できます。いまの学校は教科ごとに細分化しすぎているので、授業がつまらなく感じるのではないでしょうか。

本来、学びとは自分のペースで能動的に掘り下げていくものです。だから我が家では1日に2教科以上の勉強はさせないようにしてきましたし、宿題もやらなくてもいいと言ってきました。我ながら型破りだという自覚はあります。けれど、3人の息子は京大に進み、卒業後はそれぞれの分野でたくましくやっています。彼らの活躍を見ていると、教育方針は間違っていなかったと思います。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b388dcda71a92e81bf0666720a4520fc766df57d