だが、公開から3カ月が経過しようとしているいま、劇場に足しげく通うのは当時の熱狂を知らないもっと下の世代だという。

「SNS上で口コミが拡がり、若いオタク女子のハートに火がついたようなのです。それぞれのキャラクターのファンに限定した応援上映まで行われています。上映館ごとに『桜木花道館』『流川楓館』『宮城リョータ館』といったかたちでファンが集まり、“観戦”するのです」

オ氏に連れられ、3月18日の日曜日、若者が集う繁華街として知られる江南(カンナム)の映画館を訪れた。この日は午後3時40分から主人公らが所属する「湘北高校」、午後4時20分からは相手チームの「山王高校」の応援上映が予定されていた。観客が隣り合う2つのスクリーンに分かれて入場し、実際の試合のようにそれぞれのチームを応援するのである。

試しに記者は「山王高校」の応援上映を鑑賞することにしたが、主人公の“敵チーム”であるにもかかわらず、なかなかの人気である。上映スタート時には8割の座席が埋まった。オさんの言う通り、ほとんどが90年代のブームを知らない10~20代の女性だ。カップルもいるが女性2人組が圧倒的に多い。

オープニングで湘北高校のメンバーが登場すると、音楽にあわせて手を叩き始める観客たち。次いで山王高校のメンバーが映し出されると、「キャー!」と割れんばかりの黄色い歓声が上がった。

試合のシーンでは、入場特典として配布されたビニール製の応援グッズや、振るとパチパチ当たるプラスチック製の鳴り物を一斉に叩き始める。山王高校に得点が入るたびに沸き起こるスポーツ観戦さながらの歓声と拍手。”敵チーム”・湘北高校の応援はしないのかというとそんなことはない。韓国で一番人気のイケメンキャラ「流川楓」が得点を挙げる度に悲鳴のような歓声が……。

なお、韓国版漫画もそうなのだが、キャラクター名はすべて韓国名に翻訳されている。桜木花道は「カン・ベクホ」、流川楓は「ソ・テウン」、三井寿は「チョン・デマン」。流川が活躍するシーンでは、「テウンー!」という声が起きるのである。

試合以外のシーンでも、観客たちは登場人物のセリフに対して思い思いに茶々やツッコミを入れていた。例えば主人公・宮城リョータが古いバスケットボールにかかった砂ボコリを払うシーンでは、どこからか「ゴホゴホ」という咳払い。それに釣られて会場は笑いに包まれた。ほとんどの客がリピーターであるからこそ起きる笑いなのであろう。


韓国で大人気の「スラムダンク」応援上映に行ってみた 絶叫しながら鑑賞する“オタク女子” 17歳高校生は「7試合目」
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