「カチューシャ」はウクライナ問題を読み解くリトマス試験紙である!〈前編〉

ロシアはやる気満々?
 2月22日、モスクワ中心部に近いルジニキ競技場に、若者や軍人など20万人が参加して、
プーチンによるウクライナの軍事行動を鼓舞する大規模集会が開催され、その映像が日本のテレビでも流された。

 冒頭を飾ったのは、軍服を着た兵士たちによる大合唱。その歌に私は驚くいっぽうで、その後の日本の反応に愕然とさせられた。その歌とは、

♪リンゴの花ほころび、川面に霞たちの……

の「カチューシャ」である。

 それを指摘するニュース・コメントはなく、翌日の全国紙の記事にもその言及はなかった。さらに友人に確認してみたところ、
それに気づいたのは少数で、しかも、気づいた友人に「これはロシアはやる気満々という重大メッセージだ」と誘い水をかけたら、キョトンとされた。

 やっぱりそうか。これでは、日本はウクライナをめぐるロシアの動きを読み間違えると、私は危惧をいっそう強くした。

 というのも、本連載の最終回でウクライナ問題を取り上げようと、友人とその家族にアンケートを実施したところ、その傾向がはっきりと出ていたからだ。

 主な設問は以下である。

1) 「カチューシャ」を知っていますか?
2) 「カチューシャ」を歌えますか?
3) 日本で歌われている「カチューシャ」は「青春のラブソング」ですが、原曲はヒトラーによる侵略から
「祖国を防衛する」ために戦場に赴いたソ連の若き兵士を恋人が励ます歌です。そのことを知っていましたか?
4) 「カチューシャ」は、ナチスドイツとの戦争で開発されたロケット砲の愛称でもあります。その後改良を重ね、
現在もウクライナとの戦争のほか、親ロシアの諸国に供与されて市民を殺傷していますが、そのことを知っていますか?
「カチューシャ」をめぐる日本とロシアのギャップ
100を超える回答がよせられたが、それを見ながら私はこれほどまでに日本人は「カチューシャ」の正体を知らないのかと驚かされた。

以下ソース
https://webronza.asahi.com/culture/articles/2023030300004.html