「クジラを獲り尽くした戦後とは違う」商業捕鯨船上で乗組員が打ち明けた真実《33年ぶり再開》
「いま重視されるのは、消費者の方々に喜んでいただけるおいしいクジラをいかに獲るか。肉質や生産量を上げるために、より大きく成熟したクジラを探すようになりました」
調査捕鯨時代は、計画に従って定められたコースに沿って船を走らせた。調査の公平性を担保するために、発見したクジラは大きさにかかわらず捕獲した。また調査捕鯨を主導したのは、水産庁の委託を受けた日本鯨類研究所である。第三勇新丸や日新丸を運行する共同船舶には、日本鯨類研究所から、人件費などの用船料が支払われる仕組みだった。
しかし商業捕鯨になってから、共同船舶は、クジラ肉の売り上げなどで企業として自立する必要に迫られた。調査時代に“副産物”としてあつかわれたクジラ肉が、事業の柱となったのである。いまは天候や水温、過去のデータなどから捕獲するクジラが数多く生息するであろうエリアを予測し、操業海域を決定する。そして発見したクジラのなかから、太って脂がのったクジラを選びに選んで捕獲する。もちろん商業だからといって、無制限にクジラを獲っていいわけがない。生息数などから割り出した捕獲枠が決められている。
決まった数で、いかに多くの利益をもたらすか。それは乗組員たちの技術や経験に左右される。だが、生産性を上げるにしても、まずはクジラを見つけなければならない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4166da9883f4869d725aeda95f9d864be0400222?page=1