(前略
旧統一教会の聖地は静まり返っている。人の姿がない。信者の数に比べれば建物が立派すぎるのだろうか。どこかいびつな聖地にも思えてくる。
カピョン郡の人口は6千人ほど。ミサリ路の盆地一帯にある地元の人々の家は数えるほどしかない。一般の商店は1軒もない。あるのは教団が経営する店だけだ。
雪道を5分ほど歩いた。左手に「HEAVEN・G・BURGER」という円形の建物が見えてきた。このハンバーガーショップも教団の経営だ。入ってみる。店内で勧誘を受けることはないとは思うが、どうしても足どりがぎこちなくなってしまう。
店はハンバーガーショップというより、おしゃれなレストランといった感じだ。昼どきだが客はいない。若い女性店員がメニューを手に席に案内してくれた。メニューにはしっかりとした日本語表記があった。明洞のレストランに行ったときに登場した、いい加減な日本語メニューとは違う。それだけ日本人がやってくるということか。
ハンバーガーを頼んでみた。信者のブログなどでは、ハンバーガーは「真のお父様が愛されたメニュー」と紹介されている。お父様とは創始者の文鮮明氏だ。ポテトや飲み物がついたセットメニューで1400円ほど。案内役で同行してくれた韓国人の知人が頼んだ牛丼は1300円くらいだった。
ハンバーガーは肉汁たっぷりのパテでなかなかのレベル。ボリュームもある。ほお張りながら、店員の女性が気になってしまう。
(中略
飲み物はメッコールを頼んだ。教団が製造・販売する清涼飲料水だ。かつて韓国ではどこでも飲むことができた。僕もよく飲んだ。しかし最近はほとんど目にしない。
「メッコールを飲めるのは、ここだけじゃないですか」
同行の知人がいう。以前、このメッコールのコマーシャルに起用されたタレントが非難を浴び、ギャランティーを全額、別の団体に寄付するというもめごとも起きた。
(後略