「今の僕がいるのは紳助師匠のおかげ」芸人として潰れかけたクロちゃん(46)を救った“島田紳助の言葉”
今や芸人として“唯一無二の存在”になった安田大サーカスのクロちゃん。視聴者の反感を物ともしない性格のせいか、週刊誌の「男が嫌いな男性芸能人」2位に選ばれるも、「羨ましさの反動では」と涼しい顔。
いったい、そのブレないメンタルはどこから来るのか? 最新刊『 日本中から嫌われている僕が、絶対に病まない理由 今すぐ真似できる! クロちゃん流モンスターメンタル術30 』出したばかりの本人に尋ねると「過去の挫折経験」と「芸能界を引退した大師匠」が浮かび上がってきた。
◆◆◆
喋るのが怖くなり、本気で辞めたいと思った
――投げられたボールをすべて打ち返すイメージがありますが、苦手なこともあるのでしょうか。
クロちゃん 苦手なことだらけですよ! 芸人になる前は好きなことしかしてこなかったので、最初に困ったのは「苦手なことしかない」ということです。というのも、そもそも僕には一般常識がなかった。普通の人の考え方が、サッパリわからなかったんです。
中高時代も、世の中はバンドブームだったけど、僕は興味を持てなかったんです。だから、そういった話をさも一般常識のようにされても、全然わからない。
そういう人間なので、芸人になったのはいいものの、ボケ方がわかりませんでした。「常識」や「普通」と違うことをすれば「ボケ」になるでしょう? でも大前提をわかっていないので、ただスベるだけで話が続かない。そんなことはしょっちゅうでした。
最初は声を面白がってもらえるけど、いざトークしてみると、普通のことが話せない。なおかつ、ボケることで面白いという反応も引き出せない。僕の持ち味はファーストインプレッションだけで、その後は変な空気が漂うのが常だったんです。
だから芸人として通用しないとわかった時は、ショックでしたね。喋るのが怖くなって、本気で辞めたいと思いました。追い詰められて、当時の彼女から「仕事から帰ってきたら、毎回『もうやりたくない』って大泣きしてたよ」と言われたこともあります。僕は記憶から消していたんですけどね。
――でも、辞めなかった。
クロちゃん (島田)紳助さんの存在が大きかったですね。当時、紳助さん主催の草野球に参加させてもらっていたんです。打ち上げで師匠が「お前らみたいなのが普通に来ても収録中、全然怖くない。けど死ぬ気でなにくそ!! とかかってくるやつは、『おっ』て思う」と言われたんです。
その言葉を聞いて、番組で一度変な空気になったらシュンとして、それ以上喋るのをやめてしまう自分に気づけたんです。「ああ、自分は死ぬ気で参加してないな」と。たった1回でシュンとしたらダメだなと。
もしスベっても、もう1回挑みにいく。一言で響かなかったら、すぐ次のボケを繰り出していく。そうすることで、少しでも笑いを起こせたらいいんじゃないかと、考えが変わりました。
あと紳助師匠は、あれだけ凄い方なのに、僕のような人間にも「一緒に頑張ろうな」と言ってくれたんです。その言葉を聞いて、僕も頑張ってみようと思えましたね。
――1回やってダメでも、へこんでいる場合じゃないと。
クロちゃん へこむのは、人間だから仕方ない。でも手数を打つことで、少しでもマイナス材料を減らそうという意識に変わりました。
――そんな苦労を経て、今のような鋼のメンタルを手に入れたんですね。
クロちゃん 他人の言うことすべてを真に受けると、傷つくのは当たり前。体調がいいときならまだマシですが、心身が弱っているときに聞いてしまうと、それに縛られてしまいがちです。だから、ネガティブな声を「変換」するようになったんです。
――それは、芸人になってからですか?
クロちゃん 小さい頃からですね。原体験は、やっぱり“この声”かもしれません。
声変わりしても高いキーのままだったので、同級生からは「気持ち悪い」とか「変」とかさんざん笑われてきました。それをそのまま受け取ってしまっても、自分が傷つくだけ。だって、どうしようもないものですからね。それなら、いっそのことプラスに捉えてやろうと発想の転換をしました。
僕が好きだったアニメでは、OPやEDソングを女性アーティストが歌っていることも多かったんですが、僕ならキーを下げずに歌える。それはもはや“神様のギフト”だと思うことによって、落ち込まずにすみました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1088295018355e337cb106fdd093aa52fe3aaaf5?page=2