教科書検定 WEB動画生かすQRコード掲載 性の多様性の記述も
2023年3月28日 18時13分 教育

来年4月から小学校で使われる教科書の検定が終了しました。

今回はQRコードを使ってWEB上の動画などを生かす教科書が増えたほか、性の多様性やいじめ問題を扱うものも目立ちました。

また、新型コロナウイルスについての記述やLGBTQなど性の多様性に関する記述を加えたもののほか、大谷翔平選手の写真を掲載したものもありました。

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“国や郷土愛学ぶうえで不適切”検定意見が過去最多に

小学校の道徳の教科書では、「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」を学ぶうえで不適切だという検定意見が13件、付けられ、道徳の教科書検定が始まって以来、最も多くなりました。

今回で3度目の検定となった小学校の「道徳」では、作成した6つの会社の教科書が、文部科学省の検定意見による修正を経てすべて合格しました。

このうち5つの会社が出版する教科書に対し、「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」の扱いが足りず不適切だという検定意見が13件、付けられました。

前回(2018年度)の2件から大幅に増え、道徳の教科書検定が始まった6年前以来、(2016年度)最も多くなりました。

検定意見を受けて、ある教科書では、地域のあんこ屋の話でお店の人が話す「いつも買いに来てくれるちいきの人のためにも、がんばろうと思うんだ」というせりふの後に、「これからも日本のあじをつたえていきたいね」と追記されるなどの修正が行われました。

別の教科書では、国宝・姫路城で木材を組み合わせる「木組み」の技術を紹介する文に「日本古来のすぐれた」という説明が追記されました。

作成した6つの教科書会社に取材したところ、「国という概念は5年生の社会で学ぶので、低学年の教科書ほど『国を愛する態度』を盛り込むのが難しい」という声や、「他社の教科書との間でどのように個性を出していくか、課題を感じる」という声もありました。

検定意見が増えた背景について、文部科学省は「前回よりも取り扱う題材の入れ代わりが多かったことで、必要な要素が抜けてしまったのだと捉えている」と話しています。

道徳教育に詳しい畿央大学の島恒生教授は、「道徳は一定の価値観を教え込むものではない。子どもたちは、新しい教科書を使って考え、話し合うことでいろいろな見方を知ってほしい。教員には自分の郷土をはじめとして、国や世界へと視野を広げるような授業を期待したい」と話しています。

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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230328/k10014022121000.html