中国とイギリスの研究チームが、2020年に月へ着陸した中国の無人月面探査機「嫦娥(じょうが)5号」が持ち帰った月の土壌サンプルから、「水を貯蔵するガラス球」を発見しました。ガラス球の水は太陽風によって補充されており、月全体で最大2700億トンもの水が貯蔵されている可能性があるとのことです。
中国の無人月面探査機である嫦娥5号は2020年に月面着陸に成功し、月面を深さ2mまで掘削して採取した約2kgの土壌サンプルを地球へ持ち帰りました。
中国科学院や南京大学、イギリスのオープン大学などの研究チームは、嫦娥5号が持ち帰った土壌サンプルから発見された「マイクロテクタイト(インパクトガラス)」の分析を行いました。テクタイトとは、隕石(いんせき)が高速で衝突したことで惑星表面の物質が蒸発し、空中に浮遊したものが急冷されて固化したガラス質の鉱物であり、その中でも1ミリメートル以下のものがマイクロテクタイトと呼ばれます。
南京大学の惑星地球化学者であり論文の共著者であるHejiu Hui氏は、「これらのマイクロテクタイトは、ガラスであるため輝いています。マイクロテクタイトの中には透明なものもあれば、そうでないものもあります。それらはまた、異なる色を持っており、黒・緑・オレンジのガラスビーズの可能性があります」と、ウェブメディアのInverseに述べました。
研究チームが公開したマイクロテクタイトの画像が以下。それぞれのマイクロテクタイトはわずか数十マイクロメートル~1ミリメートルほどで、非常に小さいことがわかります。
研究チームが月のマイクロテクタイトを分析したところ、内部に水が含まれていることが確認されました。水はガラスビーズの周縁部に豊富だったものの、中心部になると水の含有量が減少していたとのこと。これは、マイクロテクタイトの内部で水が拡散し、徐々に周辺の大気や土壌に水を放出していることを示唆するものです。
また、マイクロテクタイト周縁部にある水素同位体の組成は、太陽から吹き出す高温のプラズマである太陽風の水素同位体と似ていることもわかりました。研究チームはマイクロテクタイトの水が、太陽風由来の物である可能性があると指摘しています。
https://gigazine.net/news/20230329-moon-glass-beads-contain-water/
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