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58歳女性、10年ぶりにセックスしたら血が止まらず救急病院へ…閉経関連泌尿生殖器症候群って?
子育てが一段落ついた、新しいパートナーができた――ことから、久しぶりに性行為をする人もいるかと思います。ただ、中高年の場合、加齢とともに体は変化していて、思わぬトラブルを招いてしまうこともあり、注意が必要です。
愛知県でアパレル系の会社を経営するB子さん(58)は離婚後、長く独身生活を続けていました。最近、同年代のパートナーと出会い、10年ぶりに性行為をすることになりました。ところが、なかなかうまくできません。やっとの思いですると、膣(ちつ)から出血して止まらなくなってしまい、救急病院に駆け込みました。膣の中に傷がついて出血していたため、縫う手術を受け、ようやく止血しました。その後、インターネットで性交痛を診察できる医療機関を探している時に二宮レディースクリニック(大阪市)のホームページを見つけ、受診しました。
B子さんは、「閉経関連泌尿生殖器症候群」(GSM)と診断されました。閉経前後にエストロゲン(女性ホルモン)の分泌が減り、膣やその周辺の粘膜や皮膚が弱くなることで起こる病状の総称です。膣や周辺の粘膜の弾力性がなくなって性交痛などが起こりやすくなるほか、膀胱炎を繰り返す、残尿感があるなど、排尿に関する症状も表れます。
同クリニック院長の二宮典子さんは「若い人の膣は弾力があってよく伸びますが、年齢を重ねると古びたゴムのようになり、伸ばすとブチっと切れてしまいます。挿入できないなら潤滑剤を使えばいいと考えがちですが、そういうものではありません」と説明します。
ホルモン補充療法やレーザー治療という選択肢も
GSMの人は、膣の周辺を洗いすぎないことやワセリンを塗って保湿をすることで、症状の改善が期待できます。それでも良くならない場合、ホルモン補充療法やレーザー治療という選択肢があります。
ホルモン補充療法は、直接、膣の中にエストロゲン膣剤を入れるなどすることで、萎縮(いしゅく)した粘膜の改善、膣内の常在菌が活性化するなどの効果が期待できます。レーザー治療は、レーザーを膣内に照射してコラーゲンの生成を促し、腟粘膜の状態を改善させます。公的医療保険の対象外で、1回数万円かかります。
B子さんはレーザー治療を受け、症状が改善したといいます。
事前に相談を
閉経する50歳前後になり、久々にいきなり性行為をすることはリスクを伴います。膣内に傷ができて、そこから出血した場合、傷口を縫うなどの処置が必要になります。二宮さんは、「久しぶりに性生活をしようと考えている場合は、婦人科など、GSMに詳しい医師がいる医療機関を受診して相談するとよいでしょう」と話しています。