人口の95%以上が結婚できた「皆婚時代」も今は昔。なぜ、未婚率はここまで上昇したのか。独身研究家の荒川和久氏は「そもそも、日本に恋愛強者は3割程度しかいない」と断言する。
「恋愛強者とは、端的に言うと『コミュニケーション力』の高い人のこと。人間が好きで他人に興味を持てる人、他者に合わせた言動ができる人が恋愛へと発展していくのです。一方、残り7割は受け身恋愛弱者。失敗を恐れて、なかなか行動に踏み切れず、だから経験値も積めない人たち。ただ、恋愛弱者でも男性は経済力、女性は若さがあれば結婚しやすくなりますが」
つまり、モテの基準とされている「経済力」や「年齢」は恋愛弱者を武装させるツールにはなりうるが、恋愛や結婚に向いているか否かを本質的に表す指標ではないということ。この恋愛強者3割、弱者7割との率は昔から変わらないと荒川氏は言う。
ではなぜ昔は皆が結婚できたのか。
「それは、社会に“結婚のお膳立てシステム”があったから。特に、’60年代半ばからは職場結婚が主流となり、腰かけOLや寿退社という言葉があったように、部下の仲を取り持ち、結婚式で仲人をしたがる上司も多く、恋愛弱者が結婚できる構造でした」
一方、職場のコンプライアンスが厳しくなり、“お膳立てシステム”が衰退した現代では、7割の恋愛弱者は自力でサバイブするしかない。
「今主流のマッチングアプリは恋愛弱者には不利なツールです。かつての職場結婚であれば、徐々に関係性を深めていくことができましたが、マッチングアプリは純粋な戦闘力が試されます。現状、3割の恋愛強者が市場を食い荒らしているだけ。
マッチングアプリに限らず、通常は恋愛強者3割が結婚したら、残ったうちの3割が強者へと押し上がります。しかし、昔ほど結婚への圧が強くないこともあり、強者が退場することなくモテ続けているのです」
恋愛弱者が結婚しにくい社会構造こそが、この未婚率の最大の要因といえそうだ。
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