虹という漢字の本家中国では、はっきりと不安定や凶兆を暗示させるものととらえられていました。
それは「虹」という漢字にも現れています。言うまでもなく虫偏がつくのは蛇、蛙、蜥蜴(とかげ)、蝦蟇(がま)、蚯蚓(みみず)、蛭(ヒル)などと同じ扱い。虹は巨大な蛇だといわれていたのです。そして両端に頭があり、地上に水を飲みに来るのですが、両端の頭で水を飲むので虹のアーチの形になるというわけです。
また、色は五行に対応して五色、陰陽に応じて雄と雌の性別もある。これを虹?(こうげい)といい、虹(こう)が雄、?(げい)が雌、対であらわれるとされました。雌雄対で現れるとかちょっと不可解ですが、虹には実際よく見るとはっきり見える鮮やかな虹の上に、ぼんやりとして色の配列が逆になったもうひとつの虹があります。これは、副虹。この副虹を?といったのです。
そして、虹が現れるのは人の社会・世の中が本来あるべき道をはずして乱れたときに凶兆としてあらわれるといわれました。「淮南子(えなんじ)」の原道訓(げんどうくん)には、「虹?不出、賊星不行(虹?出でず、賊星(ぞくせい)は行かず)」と、虹が出ないことは世が乱れずよいこととされていました。
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