政府が製粉会社などに売り渡す際の輸入小麦の価格について2023年4月期(4〜9月)は今より5.8%上昇します。政府の物価高対策で上昇は抑制されますが、07年4月以降で最も高値に。物価高が続く中で、私たちの生活にどの程度影響が出るのでしょうか。 Q 小麦価格の現状は。 A 国際価格は、ロシアがウクライナに侵攻した昨年前半は高騰しましたが、ウクライナから穀物輸出が再開され、円安も昨年秋以降に落ち着くと下落。今年3月には侵攻前の水準にまで下がっています。 Q 政府の物価高対策の効果は。 A 政府は、大半を輸入に頼る小麦の安定供給のため大口購入者となり、4月と10月に直近6カ月の平均買い付け価格などを基に、業者への売り渡し価格を決めています。 22年10月期は、物価高対策で据え置きを決定。23年4月期は、例外的に直近1年の価格を基に計算して13.1%上昇となるはずでしたが、政府は今回も直近半年分での計算に転換。5.8%に抑えました。 Q 価格抑制のために国が負担した額は。 A 結果的に、今回は本来の計算に戻したので新たな負担は生じません。しかし22年10月期の据え置き時に計算方法を変え、先送りした負担分約311億円を予備費で穴埋めすることが28日に閣議決定されました。 Q 今回の改定で小麦製品はどのぐらい値上げされるのでしょう。 A 小麦製品の価格に売り渡し価格が与える影響はそれほど大きくありません。農林水産省の試算では、食パン1斤と外食のうどん1杯は1.1円増、家庭用薄力粉(1キログラム)でも4.5円の増です。消費者物価指数への影響も0.007%程度の増にとどまります。ただ、小麦以外の材料の高騰などの影響で、小麦製品の店頭価格は値上げが進んでおり、家計への影響はしばらく続きそうです。