グーグル、検索エンジンに対話型AI搭載へ
4/7(金) 9:02配信

 米グーグルは人工知能(AI)による対話機能を検索エンジンに追加する計画だ。スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)が明らかにした。

 グーグルは米オープンAIが開発したチャットボット(自動会話プログラム)「チャットGPT」などの競合サービスや、経営に関わるその他の圧力への対応を求められている。同社のかじ取りを担うピチャイ氏はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、AIの進歩はグーグルの検索クエリに対する回答能力をさらに高めることになると述べた。また、親会社アルファベットの売上高の半分強を占めるグーグルの検索事業にとってチャットボットが脅威になるとの見方を否定した。

 アルファベットのCEOでもあるピチャイ氏は「チャンスはむしろ以前より広がっている」と語った。

 自然言語を処理し、人間のような発話を生成する大規模言語モデル(LLM)と言われるコンピュータープログラムの開発を巡っては、グーグルが長年にわたりリードしてきた。検索の利用において、現時点でグーグルは同技術を活用していないものの、今後はこうした状況が変わることになるだろうとピチャイ氏は指摘した。

 その上で「人々が検索の際、グーグルに質問し、LLMと関われるようになるか。間違いなくそうなる」と述べた。

 グーグルと競合する米マイクロソフトはすでに検索エンジン「Bing(ビング)」にチャットGPTを搭載しており、グーグルの中核事業は過去数年間で最大級の脅威に直面している。

 親会社アルファベットは、コスト削減を求める投資家の圧力にもさらされており、1月には従業員の6%に相当する約1万2000人を削減する計画を明らかにした。インフレと景気後退(リセッション)懸念が強まる中、他のテック企業も相次いで人員削減に着手している。

 ピチャイ氏によると、グーグルは昨年9月に掲げた生産性を20%引き上げる目標をまだ達成していない。同氏は変化のスピードに満足しているとする一方で、さらなる人員削減の可能性には言及しなかった。

 グーグルはコスト削減を進める一方でAIへの取り組みを推進しており、チャットGPTの成功を受けて新製品の開発を加速させている。

 同社は以前から、複雑なクエリに対する理解を深めるためAIシステムを活用してきた。しかし、マイクロソフトが支援するオープンAIが昨年11月にチャットGPTを公開したことで競争に火が付いた。マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、圧倒的シェアを誇るグーグルの検索エンジンを直接標的としており、今年2月に「完全に新しいプラットフォーム技術に関する新たな競争が始まっている」とWSJに語っていた。

 マイクロソフトは同月、グーグルの後塵(こうじん)を拝している自社の検索エンジン「Bing(ビング)」にチャットGPTの技術を搭載。これにより、ユーザーは同エンジンと長時間の会話ができるようになった。マイクロソフトによると、グーグルが90%超のシェアを占める検索市場では、シェアを1ポイント拡大するごとに20億ドル(約2630億円)の増収につながるという。

 ピチャイ氏の発言からは、グーグルが検索エンジンを通じ、ユーザーが直接LLMを利用できるようにする計画であることが読み取れる。そうした展開になれば、これまで20年余りにわたって主流だったリンクに基づく検索結果が一変する可能性がある。

 検索エンジンにおけるAI導入レースの見返りは極めて大きい。グーグルにとって、検索広告はいまだに最大の収入源であり、昨年の売上高は1620億ドルに上った。

 グーグルは3月にAIを活用したチャットボット「Bard(バード)」を一般公開した際、検索エンジンへの統合は見送った。独立したサイトとして立ち上げ、ユーザーが追加情報を必要とする場合にはグーグルの検索エンジンにリダイレクトされる設定となっていた。

 ピチャイ氏は、グーグルがなぜもっと早いタイミングにチャットボットをリリースしなかったのかとの質問に対しては、適切な市場を見極めていたと説明した。

 また、グーグルは新たなAIモデルを活用しながらBardの改善を続けるとした一方で、現在の待機リストへの登録制をやめ、誰でもBardを自由に利用できるようにする時期についてはコメントを控えた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ebe68f27879b28c7a62cddb8b9b07a4e5e6c8ac7