歩きスマホの女性に体当たり…間違った「正義感」を振りかざす中年たち

「危険なので注意するつもりで体当たりした」

 これは’19年9月、駅のホームで歩きスマホをしていた女性に体当たりして逮捕された49歳犯人の供述だ。ほかにも街角やSNSで、自分が正しいと思ったことを相手に押しつける行為が増殖しているが、なぜか40~60代の中高年が多い。この理由を精神科産業医の松崎一葉氏は、「人の意見を聞かず、他人を追い込む人間が増えたからでしょう」と語る。

「トラブルを起こす人たちは、もともとは優秀な企業戦士が多かったりします。会社が求める以上に、きちんとしたものを作って提出する。だから他人が自分の意に沿わない行動をすると、相手をとにかく自分の想定内に落とし込まないと気が済まなくなる。『歩きスマホがダメなことぐらい、そんな社会常識は言われなくてもわかるよな?』と、よかれと思って行動に出る。なぜなら『自分は正しい』と心の底から思っているからです」

 中高年にとっては“世直し”の感覚なのに、それが結果として世間では暴言に、場合によっては暴行として“犯罪者=負け組”にまで落ちてしまう。これは育った世代的なものも大きいと松崎氏は話す。

「これらは相撲部屋に代表されるような、昔ながらの『体育会系かわいがり』に対して、あまり疑問を持たない毒された年代は要注意。あと、他人を追い込む『~せねばいけない』という強迫性があまりに強い人も危険ですね。例えて言うなら、部屋の隅まで片づいていないと気の済まないタイプですね」

https://nikkan-spa.jp/1640498