ただの「鉄の箱」じゃない!日本を輸出大国にした「コンテナ」の知られざる凄さ

世界経済の血液ともいわれる海運輸送に欠かせないのが「コンテナ」。
荷物を運ぶ、ただの「鉄の箱」に見えますが、実は「コンテナ輸送が広く普及したことで、世界の貿易が大きく促進され、今でも世界経済の中で大きな役割を果たしている」と話すのが、海運経済学を専門とし、コンテナ輸送の動向を研究している松田琢磨・拓殖大学商学部教授です。いったいどういうことなのか。松田氏が解説します。
※本稿は『コンテナから読む世界経済 経済の血液はこの「箱」が運んでいる!』から一部抜粋・再構成したものです。

■コンテナは世界を大きく変えたテクノロジー

 日本のように海に囲まれた島国だけではなく、世界の多くの国々において、安価に大量の貨物を輸送できる船舶を利用した海上輸送が物流の中心を担っています。
そしてこの物流(海上輸送による国際貿易)は、世界経済と一体的に発展を続けてきました。

 1990年から2018年まで、世界全体のGDPは3.6倍に増大しました。これと歩調を合わせて海上輸送量(重量ベース)も42.9億トンから118.9億トンと2.8倍に伸長しているのです。
 ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマンは、コンテナ輸送が国際貿易に与えた影響は大きく、世界を変えたテクノロジーであると評価して、

「世界を変えたテクノロジーについて考えるとき、インターネットのようなものを考えてしまう。しかし、何が世界の貿易に起こったかを考えれば、コンテナが大きな変革をもたらしたことに気付く」※Krugman,Paul(2009),Citigroup Foundation Special Lecture, Festschrift paper in honor of Alan V.Deardorff, University of Michigan IPC working paper 91,20
 とコメントしています。

 経営学者ピーター・ドラッカーも、コンテナが存在しなければ、1960年代以降のすさまじい貿易の拡大は起こらなかったかもしれない、とその存在を大きく評価しています。

 コンテナによる国際貿易の発展は、サプライチェーンの世界的な拡大をもたらし、グローバリゼーションを大きく進めることにつながったのです。
海上輸送量に占めるコンテナ輸送の比率は80年代には5%に満たなかったものが、2017年には15.7%まで大きくなっています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/5947570b8550686c9260890aded8cfa8b4bf934a