https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/423248

障害児福祉の所得制限で“所得の逆転” 「我が家の方がたくさん納税しているのに」当事者家族の悲痛な叫び

筆者は2023年2月、障害児福祉の所得制限に苦しむ家族を取材し放送した。

この家族には重度心身障害のある息子がいて、車いすやデイサービスを使っている。その支援のための福祉制度を利用しているが所得制限にかかるため自己負担が大きく、つらい思いをしていた。
放送後、「所得制限をなくすべき」という反響が多かったが、こんな意見もあった。

「それなりに稼ぎがあるってことでしょ?何で文句言うの?」
「高所得で余裕があるのに、不公平だと言う人は浅ましい」

確かに取材した家庭は世帯年収約1200万のいわゆる高所得世帯だった。しかしそれでも生活に余裕はないという。

なぜだろうか?

障害児福祉の所得制限とは?
日本には、障害児とその家庭を支援する様々な福祉制度がある。しかし、制度の多くは障害児の親の所得が一定以上だと援助額が減少、もしくは適用外となる。これが障害児福祉の所得制限だ。

では実際に「所得制限」で負担はどう変わるのだろうか。

重度心身障害の子どもがいる場合、「特別児童扶養手当」(月額5万2400円)と「障害児福祉手当」(月額1万4850円)が支給される。しかし年収が一定額を超えると支給されない。また障害のあるなしにかかわらず支給される「児童手当」にも所得制限がある。


支援制度を使えば、デイサービスやショートステイは月額最大4600円で、何回でも利用できる。しかし一定の年収を超えると最大3万7200円を負担しないといけない。
また、車いすや※座位保持装置など障害児に必要な補装具の負担も、所得制限で大きく変わる。所得制限のない家庭は、同じ月にまとめて購入すれば、最大でも合わせて3万7200円の負担で済むが、所得が一定額を超える家庭は、すべて自腹だ。取材した家庭では、※カーシートが10万円超、車いすは35万円超、座位保持装置にいたっては45万円を上回っていた。座位保持装置は多くの場合、学校と家で2台必要なため、これらを合計すると、135万円を超える。

※「座位保持装置」…障害児が適切な姿勢で座れる機能のついたオーダーメイドの椅子。
※「カーシート」…車内で障害児の姿勢を保持するためのもの。