サッカー選手、認知症リスク1.6倍 ヘディング影響?キーパーと差

 トップレベルの男性サッカー選手は、一般男性に比べて認知症を発症するリスクが1.6倍に高まっていたことが、スウェーデン・カロリンスカ研究所の研究でわかった。ヘディングなどで頭部に衝撃を繰り返し受けることが影響している可能性があるという。ヘディングの少ないゴールキーパーでは、一般人とリスクに差は出なかった。

 ボールを頭ではね返すヘディングでは、長年の繰り返しによって認知症などの神経変性疾患のリスクが高まる恐れが近年指摘されている。日本サッカー協会は2021年に「小学1~2年生は風船や新聞ボールなどを使用」など、頭の負担を軽減する指針を出している。

 カロリンスカ研究所の上田ピーター助教(疫学、東京大学客員研究員)らのチームは、スウェーデンの男子サッカートップリーグで1924~2019年に1試合以上出場し、同国の国民健康登録制度にデータのあった6007人の選手を特定。診断や死亡、薬の使用記録から537人(8.9%)が、パーキンソン病などを含む神経変性疾患になったと確認した。また491人(8.2%)の選手がアルツハイマー病を含む認知症になっていた。

 一方、同年代の一般男性約5万6千人では、神経変性疾患は6.2%、認知症は5.1%が発症していた。

 トップサッカー選手が一般人に比べて認知症になるリスクは1.6倍高い計算になる。

 一方、ヘディングの機会が多くないゴールキーパー510人と、キーパー以外のポジションの5497人を比べると、キーパー以外の選手が認知症になるリスクが1.4倍高かった。キーパーと一般人の認知症リスクには統計的な差がなかったという。

 こうした結果からチームは、繰り返しヘディングをすることによる頭部への衝撃が、サッカー選手の認知症リスクを高めている可能性があると結論づけた。

 論文は3月、ランセット・パブリックヘルス誌に掲載された(https://doi.org/10.1016/S2468-2667(23)00027-0)。

https://www.asahi.com/sp/articles/ASR4765LFR46ULBH008.html?iref=sp_new_news_list_n