ケルンから60kmぐらい東に行ったところにフロイデンベルクという町がある。人口がたった1万7600人ほどのこの小さな町を私が知っていた理由は、町中にぎっしりと立ち並ぶモノトーンの木組みの家々。写真を見ると、町は完全に白黒の世界で、この世の風景とは思えない不思議な雰囲気に包まれている。

 一度、見てみたいと思ったのはかなり昔のことだが、行きにくい場所だったことと、観光地でもないので行っても何があるわけでもないため、これまで訪れる機会もなかった。

 ところが、そのフロイデンベルクが3月14日、突然、ニュースに躍り出た。その3日前の11日に、この町で12歳の女の子が行方不明になり、翌12日に警察が森の中で彼女の死体を発見した。父親は勤め人で、母親は幼稚園の保母という、ごく普通の家庭の三人兄弟の末っ子だったという。

 そしてその1日後、恐ろしい事実が判明する。被害者は、親しくしていた12歳と13歳の友人の女の子に殺されたらしかった。それも30ヵ所以上をナイフでグサグサと刺されて。

 12歳と13歳の女の子にそんな残忍な殺人ができるなど、私たちの想像を超える。そして、まさにそのせいで、この殺人事件はドイツ中に大きな衝撃を与えた。うまく言い表せないが、何の関係もないはずの私でさえ、金縛りにあったような絶望的な気分になった。

 ただ、14歳未満の子供は触法少年(今回の場合は少女だが)といって、どんなことをしても罪に問われることはないため、容疑者である12歳と13歳の少女についての情報は厳重に秘匿されている。地元ではいろいろなことがわかっているのだろうが、もちろん報道はなされず、少女たちが保護されている場所もわからない。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/520fdd2856d88d25c441efb89d7a4fdbb7dfc7f1