高木さんは「現在の御茶ノ水のにぎわいは、学生街になったことがターニングポイントになっているんです」と打ち明ける。

戦前から続く老舗・谷口楽器の岩田浩社長(52)=写真=に話を聞いた。

 アコーディオンなどを取り扱う同店は、35年に浅草地区で創業。しかし、創業者が「学生の集まる御茶ノ水に出店したい」と考え、41年に明大前に移転。

 戦後、進駐軍から大量の楽器が払い下げられたことで品ぞろえが増したことや、50年代に入ると平和の願いを訴える「うたごえ運動」が盛んになり、楽器がよく売れた。別の老舗店によると、この頃の好景気に乗じて、雑貨店が楽器店にくら替えすることもあった。

 60年代のエレキブーム、その後のフォークブームの影響で、70年代にも徐々に店数が増え、正月にはお年玉を握りしめた学生が楽器を買いに来るのが風物詩に。

 90年代に入ると、ビジュアル系バンドの一大ブームで楽器店が一気に増加。「御茶ノ水」ブランドが確立し、出店が相次ぐようになったという。

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