国境すり抜けるマネーはNO 神戸の富裕一族、52億円申告漏れ
4/12(水) 5:00配信

 関西有数の高級住宅地で暮らす資産家の50代男性や親族ら数人が大阪国税局の税務調査を受け、2020年までの5年間で総額約52億円の申告漏れを指摘されたことが関係者への取材で判明した。タックスヘイブン(租税回避地)に設立された会社で多額の資産を管理し、運用益が過少に申告されていたことも判明。過少申告加算税を含めた追徴税額は計約18億円に上り、全額が納付された模様だ。

 ◇台湾企業の株式を相続

 国税当局は国内外に多額の資産を持つ「富裕層」について、国境を越えた巧妙な課税逃れへの監視を強めている。調査対象とする富裕層の定義は公表されていないが、所有する有価証券や不動産、所得、海外投資額などに一定の基準を設けているとみられる。

 関係者によると、申告漏れを指摘された男性は神戸市内の高級住宅地で暮らし、不動産関連の会社を経営している。親族の一部は台湾に居住し、男性らは複数の生活拠点を持っている。

 大阪国税局が富裕層の調査を進める過程で、男性らが亡くなった別の親族から台湾にある上場企業の株式を相続し、国内外で多額の資産を保有していることを把握した。株式を含む資産はタックスヘイブンに親族が設立した資金管理会社にも移され、男性らは配当金などを受け取っていたという。

 ◇「何も話すことない」

 また、男性が親族に資産を贈与したにもかかわらず、親族が税務申告をしていなかったことも明らかになった。

 株式など有価証券1億円以上を保有する国内居住者が海外の親族に贈与や相続をする場合、含み益に課税される。「国外転出時課税制度」と呼ばれ、贈与した人に所得税、資産を受け取った側には贈与税が課される。株式の売却益に税金がかからないタックスヘイブンなどを通じた税逃れを防ぐ目的で15年に導入され、男性らにはこのルールが適用されたとみられる。

 国税局は、法人税率の低い国や地域への所得移動による節税を防止する「タックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)」の対象にもなると判断。総額約52億円の申告漏れを確認し、所得税や贈与税を追徴課税した模様だ。

 男性は毎日新聞の取材に「何もお話しすることはない」と語った。

※略※

https://news.yahoo.co.jp/articles/0fbf3e6fd65874684098662e879a839fc4532e42