福島市南矢野目の歩道で昨年11月、軽乗用車を暴走させ女性1人を死亡、4人にけがを負わせたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた同市北沢又字樋越北、波汐(なみしお)國芳被告(97)の判決公判は12日、福島地裁で開かれ、三浦隆昭裁判長は「運転を控えるべきだったが、ことさらに悪質とまでは言えない」として禁錮3年、執行猶予5年(求刑禁錮3年6月)を言い渡した。

 三浦裁判長は判決理由で、波汐被告がブレーキとアクセルを踏み間違えて事故を起こしたとし、「ブレーキとアクセルを的確に操作することは運転する上で最も基本的な注意義務であり、過失は重大」と指摘。今回の事故前から複数回の自損事故を起こしており、「判断能力や運動能力に衰えがあった」とした上で「元気なうちに免許返納や生活の調整で運転自体を差し控えるべきだった」と断じた。

一方、運転免許の返納は義務化されておらず、2020年の免許更新時も認知機能検査に問題がなかった点などに触れ「高齢者が運転せずに不便を感じることとのない生活を送ることができる社会の構築が望まれる」とし、波汐被告が日頃時速20~30キロに落として安全運転を心がけていたことなどから執行猶予付きの判決とした。

 判決によると、波汐被告は昨年11月19日、運転していた軽乗用車を歩道に乗り上げそのまま進行。ブレーキとアクセルを踏み間違えて少なくとも時速60キロまで加速し、歩行中の女性=当時(42)=をはねて死亡させた上、信号待ちしていた車など3台に相次いで衝突、4人にけがを負わせた。

被告、遺族に深く一礼
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