AIの研究者やエンジニアにとって、「どの技術を採用するか」は、限られた時間という価値を投資することになるので、「iPhoneの新機種を買うかどうか」の問題と非常に似ている。
もう形はどうあれなんらかの論文を発表することが目的となっている研究者なら、ある程度はその技術の行く末に「諦め」をつけながらも論文の形にして発表することもやるだろうが、
できれば一瞬でもいいから世界最高のものとして発表したいと考えると、やはり誰よりも先に発表しなければならないということになる。

その結果、年に数回の学会にあわせて発表していた新規論文や実装も、競うようにプレプリントサービスのarxivで公開したり、githubで発表したりするようになって、もはや学会というマイルストーンが関係なくなってしまったため、
しかも学会にしてもあまりにも膨大に寄せられる「新技術」の良し悪しを判断するスピードが追いつかなくなったため、毎日目まぐるしくニュースが発表され、そして忘れ去られていくということを繰り返している。

この状況はさすがに異常すぎるため、「AIもういいわい」とか、どうでもいいことすら言いたくなる。
特に3月は、月の頭にChatGPTがGPT-3.5-TurboとしてAPIとともに発表され、値段が1/10になり、その翌週にはGPT-4が発表され、また値段が10倍になり、
さらに翌週にはChatGPTの機能を飛躍的に高めるChatGPT Pluginが発表されるという、人類の技術進歩の歴史から見ても控えめに言って「天変地異が毎週起きる」みたいなことが人為的に引き起こされている。

https://wirelesswire.jp/2023/04/84527/