そもそもなぜ1日8時間、週5日、週40時間労働が標準的なのか

米国は週4日勤務を検討中、いまの「当たり前」が定着した歴史を振り返る
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/032800153/?ST=m_news
週の最大労働時間を現在の40時間から32時間とする法案が、米国の議会に再提出されたのは3月上旬のこと。週4日勤務制を採用するべきかどうかは、何年もの間、米国の人々の強い関心の的となってきた。

 だが、そもそもなぜ週40時間働くことを求められているのだろうか。土曜日と日曜日が聖なる休日とされている理由はなんだろうか。こうした概念が職場の常識となった経緯を紹介しよう。

なぜ週5日働くのか
 何世紀もの間、米国の雇用主は週ごとの休みを設けることなく、労働者を長時間働かせていた。しかし19世紀初頭、多くの雇用主が日曜日を休みとすることを認めるようになった。その背景には、「サバタリアン(安息日厳守主義者)」と呼ばれるキリスト教徒によるロビー活動の影響があった。

 彼らは郵便局を始めとして、さまざまな業界において、安息日には業務を休むことを義務付ける法律を設けるよう強く求めた。彼らは、キリスト教徒は第4戒によって、聖なる日には旅行や仕事、気晴らしの娯楽さえも控えなければならないのだと主張した。

 ところが、ユダヤ人労働者にとっての安息日は日曜日ではなく土曜日だったことから、職場で対立が生じた。20世紀初頭には、一部の工場が、従業員の宗教的信条に配慮して、土曜日と日曜日の両方を休日とするようになった。