https://monoist.itmedia.co.jp/mn/spv/2303/09/news021.html
いまさら聞けない「PLM」 これからのモノづくりの現場に必要な理由
製品を企画し、設計し、製造し、出荷して使用してもらう。この一連のバリューチェーンの情報を活用し、複雑化するモノづくりをより高度に効率的に行えるようにする取り組みが広がっている。その基盤として、PLMへの注目度も改めて高まりつつある。そもそもPLMとは何なのか、なぜ求められているのか。本稿では基本的な知識から分かりやすく解説する。
自動車やPC、携帯電話、家電など、あらゆる製品づくりには設計、部品、構成情報などさまざまなデータが欠かせない。モノづくりの過程ではこれらのデータを複数部門で活用する必要があり、そのために最新のデータを必要なタイミングで入手できる仕組みづくりが重要になる。
しかし、これまで日本の製造業では設計、製造、調達、サービスなどの各部門や担当者が個別に製品データを管理することも多かった。必要なデータを入手するには複数システムや部門にまたがって検索する必要があったり、担当者への問い合わせが発生したり、古いデータを最新のものと誤認して次の作業に進み手戻りが発生したりするなど、非効率なケースが散見された。
課題解決には体系的な情報管理が必要だ。そこで求められるのがPLMシステムである。PLMシステムの導入実績をグローバルで豊富に持つPTCジャパン 製品技術事業部 CAD/PLM技術本部 プリンシパルソリューションコンサルタントの有末晋也氏に、PLMの概要や製造現場にもたらすメリットを分かりやすく解説してもらった。
PLMとは何か
PLMは「Product Lifecycle Management」の略語で、日本語では「製品ライフサイクル管理」と訳される。簡潔に言えば、ある製品が企画されてから設計、製造などの工程を経て市場に出て廃棄されるまでの情報を管理する手法のことだ。
そしてPLMシステムとは、PLMを支援するシステムを指す。BOM(Bill Of Materials)データに加えて2D/3D CADデータやモックアップデータ、ポートフォリオ、製品設計、開発スケジュール、原価、取引先情報など、製品に関連するあらゆるデジタルデータを一元管理する。BOMの変更/修正履歴や部材などの購入製品情報、最終製品の情報管理も可能だ。