研修が終わり辞令が出て、新入社員たちは各支店へ配属された。優太さんが配属されたのは、県内忙しさナンバー1の支店で来客や業務が多かった。その支店の総務課へ配属されたのだ。総務課といっても経理や人事担当、庶務、なんでも担当する部署だった。

しかし優太さんの部署は人の入れ替わりが多く、過去に派遣やパートを雇ってもみんな長続きしなかったようだ。

「あとから聞いたんですけど、僕が座ってた席は『呪いの席』と言われてたみたいです。この席に座った人はもたないってジンクスがありました。なんでだろう? と疑問に思っていたんですが、すぐその理由が分かりましたよ……」

配属された部署には、総務歴10年の46歳のお局(Aさん)がいた。通常は3年で異動するのが、その女性だけはなぜか長年同じポジション。数字に強く、何でも知っている「スーパー経理」だったのだ。

このAさんが優太さんの教育係になり、業務内容やお客さん対応、各業者とのやりとり、電話対応を1からレクチャーしてくれたという。

しかし、だんだん隣の席のAさんに対し疑問を抱くようになったのだ。

県内1忙しい優太さんの支店は、業務量に対し社員の人数が少なかった。体調に徐々に変化が現れたのは、月の残業時間が80時間を超えた入社9か月目の12月頃だった。

「残業が続き、会社に行きたくないと思い始めてから体重が減っていきました……。最初は1か月に3キロくらいでした」

「入社半年が過ぎた頃、隣の席のAさんがグイグイ来るようになって。もともと部署内のLINEグループはあったんですが、ある日急に個人LINEが来たんです」

「『近くで飲んでいるからおいで。それか家で飲む?』とか『46歳ってイケる?笑』などのLINEが来るようになりました。仕事を教える立場の人だったので、最初は酔いLINEかなと思って簡単にあしらってたんですが......」

当時のことを思い出しながら不快そうに話す。

「ボディータッチも入社当初から激しめでした。トイレから帰ってきて濡れている手を僕のシャツに笑いながら拭いたり、腕を触られたり。香水の匂いもきついしパーソナルスペースにぐいぐい入ってくるし、仕事は忙しいし隣の席のお局はキツイし、限界が来ました」
https://news.yahoo.co.jp/articles/438de19f2f6bb437dbc00608930c91d794e70fc5

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