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「阿蘇たかな漬」の原料となるタカナが今季、生産者の高齢化に害虫被害も加わり、記録的な不作となっている。阿蘇たかな漬協同組合(熊本県阿蘇市)に加盟する食品業者7社は、たかな漬けの販売価格を値上げ。組合はタカナ生産者を確保するため、買い取り価格のアップや、たかな漬の新たなブランド戦略を模索する。
「ここまでダメージが広がっているのは初めて」。3月下旬、阿蘇市黒川のタカナ畑を訪れた菊池食品(同市)の菊池秀一社長(53)は、害虫に食い荒らされたタカナ畑を見て肩を落とした。組合によると、今季の収穫量は過去最低の1600トン。昨年と比べ約4割減った。
県阿蘇地域振興局によると市内にハクサイダニが広がっており、茎が食い荒らされた農場では広範囲でタカナが枯れる被害が出た。2月の調査では、市北西部の3地区と市東部の2地区が特に深刻だった。
被害が広がった1月ごろ、葉や土壌に産み付けられた卵は冬場にふ化するため、来年も被害が拡大する可能性がある。しかし、タカナは無農薬栽培が主流で、専用の農薬は登録されていない。同局農業普及・振興課は「畑にビニールをかけて地温を上げ、ダニの卵を殺す対策はあるが、夏にキュウリやトマトなどを栽培する農家が多いため難しい」と頭を悩ます。
収穫量の激減を受けて菊池食品では、毎年20ほど出している商品の種類を半分近く減らすことを検討している。「収益は減るが原料不足でなので仕方ない」と菊池社長。家庭用に栽培しているタカナを買い取って、不足分を補っている業者もあるという。
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