陸自ヘリ事故、激しい衝突の形跡に深まる疑問と不安 元幹部は「ホエールウォッチング」島民は「やっぱり中国が」

4/23(日) 17:40配信

「救難信号はパイロットが手動で発信するものと、海水への着水を感知した時点で自動的に発信するもの、2種類が搭載されているはずです。自動発信装置は電源の入れ忘れも考えられますが、手動のほうは、搭乗機が稼働すれば自動で装置に電源が入ります。パイロット席の上部、手を伸ばせば届く場所にスイッチがあります。ひっくり返って海面に激突するくらいの“異常事態”がなければ、救難信号も発信できないような事態にはなりません」(軍事ライター)

 つまり、短い時間で海面に激しく衝突するという、なんらかの“異常事態”が発生したということになる。防衛省情報本部の元情報分析官で、現在は軍事評論家の西村金一氏は、「低空飛行をしていたということでしょうが……」と言い、首をかしげる。

「まず前提条件として、ヘリコプターはエンジンがなんらかの不調で止まったとしても、ローター(プロペラ)がしばらくは慣性で回っているので、一気に墜落することはありません。突然、墜落したということは、かなりの低空飛行をおこなっていたということです。

 しかし、墜落機は師団長の坂本雄一陸将の搭乗機で、目的は視察です。訓練計画が正しくおこなわれているかを視察するためのもので、島全体を見渡せる位置を周回することはあっても、個別の訓練状況の確認はしないため、低空を飛行する必要性がありません。なぜそのような低空を飛んでいたのか、目的がわからないんです」

 ある元陸自幹部は、“体験飛行”をしていたのではないか、と推測する。

「幹部が搭乗した際に、パイロットから『前方にある雲の中に入ってみますね』とか、『急上昇をしてみますか』といった、少しアクロバティックな“体験飛行”を提案することはよくあります。いわば接待を兼ねたようなものです。

 そこで、推測にはなりますが、あの海域はクジラのような水生哺乳類の生息地だと聞いています。もしかすると、低空飛行をして“ホエールウォッチング”をしていたのかもしれません。しかし、事故海域は風が強く、海面すれすれだと機体の維持が困難になるときがあります。バランスを崩して突然、墜落してしまったのかもしれません」

 宮古島の現地住民も、不安は収まらない。

「真相が分からないから、怖いですよね。事故だといわれていますが、やっぱり中国のスパイがヘリコプターに何かしたのではないか、という噂は消えていません。宮古島は台湾海峡有事の“最前線”ですから。それに、長年の米軍の基地問題が背景にあり、やはり“軍”の公式発表を鵜呑みにはできないという不信感もありますから」

https://news.yahoo.co.jp/articles/5765a72e641529f544bf3c14a2d989d0a8341d29