3世紀初めの木製仮面、大阪の遺跡から出土 ヤマト王権に関わりか
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 3世紀初めごろのものとみられる木製仮面が、大阪府東大阪市にある集落跡「西岩田遺跡」から出土した。府文化財センターが24日、発表した。この時代の木製仮面は全国で3例目といい、専門家は「地域の有力者による大規模な農耕祭祀(さいし)に使われたのではないか」とみている。

 センターによると、木製仮面の素材はスギで、長さ約30センチ、幅約18センチ、厚さ最大2センチ。三つの穴が両目と口を、中心付近の隆起が鼻を表しているとみられる。奈良県の同時代の遺跡「纒向(まきむく)遺跡」から出土した木製仮面と目の仕上げ方などに共通点もあるという。端には直径7ミリほどの穴があり、何かにくくりつけるためのひもを通した可能性もあるという。

 昨年6月、大阪モノレール延伸事業に伴う発掘調査で、遺跡内の洪水堆積(たいせき)層の地下2・9メートル地点から見つかった。同じ場所で、農耕祭祀との関係をうかがわせる、水をためる槽の一部と火で炭化した鍬形(くわがた)木製品も見つかった。

 桜井市纒向学研究センター(奈良県)の寺沢薫所長は、着用するには重く、飾るなどして祭祀に用いた可能性が高いとみる。「大王の権威を示す、人の姿をした神『首長(しゅちょう)霊』を表しているのではないか。ヤマト王権の儀礼の影響を受けた有力者が祭りに使ったのだろう」と話す。