https://mainichi.jp/articles/20230423/k00/00m/040/183000c
出入国在留管理庁は24日、自民党の外国人労働者等特別委員会で、熟練した技能を有する外国人労働者が取得できる在留資格「特定技能2号」の大幅な対象拡大を提案した。実現すれば人手不足が深刻な12分野で外国人の無期限就労が可能になる。対象拡大には閣議決定による法務省令の改正が必要で、政府は6月の閣議決定を目指したい考えだ。
特定技能は2019年4月に設けられた在留資格。技能試験と日本語試験に合格するか3年の技能実習を修了すれば取得できる「1号」(在留期間は通算5年)と、より熟練した技能が必要で在留期間の更新回数に上限がない「2号」がある。

 1号は12分野が対象だが、2号はこのうち「建設」「造船」の2分野しか認められていない。また、「介護」は介護福祉士の資格を取得すれば、別制度で無期限就労が可能だ。
今月10日には、国際貢献を目的に外国人の技能を育成する「技能実習」と、特定技能の見直しを検討中の政府の有識者会議で中間報告書のたたき台が示され、技能実習を廃止して新制度を創設し特定技能につなげる案が提示されている。2号の対象が拡大されれば、外国人労働者が日本でキャリアアップしながら長期就労できる枠組みが整う。

 特定技能は24年4月で制度創設から丸5年となり、1号での在留期間が上限に達する外国人労働者が出てくる。各分野を所管する省庁がこれまでに業界団体にヒアリングしたところ、いずれも2号への移行が可能な制度変更を希望したという。
 2号は家族の帯同が認められ、5年以上就労して日本滞在が10年になれば永住権取得の道が開ける。2月末現在の在留者数は1号が14万6002人で、2号は10人。2号の対象が拡大されれば1号からの流入が加速することも予想されるが、2号は現場の監督者として業務を統括できる技能が求められ、取得のハードルが高いという側面もある。

 与党内では今回の入管庁の提案を踏まえ、分野ごとに対象拡大の是非が議論される見通しだ。外国人の長期就労や永住者を増やす政策は保守層に慎重論が根強いことから、議論が難航する可能性がある。