同居していた母親の遺体を自宅で4年近く放置して遺棄し、さらに母親の年金などをだまし取った罪に問われている56歳の男の裁判で、検察官は懲役3年を求刑、弁護人は執行猶予を求めました。

起訴内容によりますと、東洋町の無職松吉健一被告(56)は、2019年1月ごろから2022年12月まで、死亡した母親の遺体を自宅で遺棄した罪と、
母親に支給される年金と給付金、およそ200万円を不正に受給してだましとった罪に問われています。

きょうの裁判で松吉被告は、「生活の収入源が母親の年金だった。母が亡くなった時は『葬式に金がかかる』と思い、お金がなかったので誰にも連絡できなかった。
不正受給については『いつかはバレるな』と思っていた」と証言しました。

検察官は、「母親の遺体がゴミに埋もれて白骨化していた」とし、「“ゴミ屋敷”ともいえる中で遺体を放置し、死者への畏敬の念は感じられない。
不正受給の動機も身勝手だ」と述べ、懲役3年を求刑しました。

一方、弁護人は、「事件の根本的な要因は、被告が、母親の年金を唯一の収入源としてよりどころにしていたこと。
犯行の動機も『生活費を確保すること』で酌量の余地はある」として、執行猶予付きの判決を求めました。

判決は来月16日(火)に言い渡されます。