4月25日、谷公一国家公安委員長は、自民党議員のパーティで、岸田文雄首相の遊説先での爆発事件をめぐり、当時、自身は兼務する防災担当大臣として高知県に出張中だったことにふれ、こうあいさつした。

「四万十で、おいしいうなぎ丼を食べられるということで楽しみにしていたが、これから食べようというときに警察庁から電話があった。和歌山で岸田総理にものが投げられたと。そういうことがあったけれども、うなぎ丼は、しっかり食べさせていただいた」

 国家公安委員長は、警察を所管する大臣。4月20日、国家公安委員会後の記者会見で、谷氏は、委員から「会場への不審者の侵入、警護対象者への攻撃を許した事実は重く受けとめなければならない」「聴衆の避難誘導のあり方は課題」との意見が上がったことを明らかにしている。

 また、谷氏は5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の警備責任者でもある。

 谷氏の発言が報じられると、SNSでは批判する声が殺到した。

《警察のトップがこれじゃダメだわな》

《危機感が無さすぎる》

《これでG7の警備トップの指揮官が務まるのか》

 なかでも「うな丼を食べた」という発言がどう影響するか、想定していないことへの批判が多く上がった。

《身内ウケ狙いの動画と同じレベルな思考なんだろうが、平和ボケとしか思えない。これが治安のトップなのだから、そりゃテロも防げない》

《場を和ますつもりで言った冗談だとしてもわざわざ言うことでも無いし、判断がつかないのはびっくり》

《今回のテロの様に、先を見通した思考が必要な場面で、自分の発言の先が予見出来ない公安委員長は必要ですかね?》

 パーティでの閣僚の発言をめぐっては、2022年11月、当時の葉梨康弘法相が「法相は死刑執行のはんこを押したときだけニュースになる、地味な役職」と述べ、辞任に追い込まれた。

 翌26日の参院本会議では、立憲民主党の宮口治子議員がこの問題を取り上げた。

「G7広島サミットを前に、事件に対する危機感も緊張感も感じない人物に、要人警護や警備の責任を担わせてよいのか。『うな丼大臣』は即刻、更迭してもらいたい」

 対して岸田首相は「谷大臣は出張先で事件の報告を受け、必要な指示や情報収集をおこないながら用務を継続した。引き続き、職務にあたってもらいたい」と述べ、更迭の要求を拒否した。

 一方、谷氏は、記者団から「うな丼食べた」発言について問われ、こう釈明した。

「(うなぎは)四万十町の名物であり、私は地方創生も熱心にやってきた。地域の魅力を発信するのも、国会議員としての大事な仕事。何を食べたかということをパーティの場で断片的にしゃべった。言葉足らずだった」

 自身の進退については、「しっかりと緊張感をもって、引き続き職務に取り組んでいきたい」と述べた。

 パーティと同じ25日の午後3時前には、東京都千代田区永田町の交差点で、谷氏が乗った車にオートバイが接触する事故があったことも報じられた。双方にけがはなく、谷氏の公務への大きな影響もなかったというが、その後のパーティで「うな丼食べた」発言が飛び出したこととなる。

 谷氏には「しっかりと緊張感をもって」、5月のG7広島サミットにのぞんで欲しいものだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/4c022218f874fcddf0f932ade30a66c6535b863a