パナマ運河、水不足で通航制限
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【4月27日 AFP】パナマ当局は水不足の影響で、
太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河(Panama Canal)の通航を制限せざるを得なくなっている。

パナマ運河庁(ACP)は今年の渇水期に既に5回、大型船舶の通航を制限している。
パナマ運河は世界の海上交通の約6%を占めており、航行する船舶の大半は米国、中国、日本のものだ。

パナマ運河は海抜26メートルの人造湖ガトゥン湖(Lake Gatun)を頂点とし、
閘門(こうもん、ロック)で仕切られた閘門式運河。
船1隻が航行するたびに2億リットルの淡水が海洋に流れ込む。
この水源となっているのが、コロン(Colon)にあるガトゥン湖と、
同じく人造湖のアラフエラ湖(Lake Alhajuela)だ。

だが、いずれの人造湖も降水量不足で部分的に干上がっている。
運河庁によると、3月21日から4月21日で、アラフエラ湖の水位は7メートル低下した。

運河庁の責任者エリック・コルドバ(Erick Cordoba)氏はAFPに、
通航料が最も高い大型船舶の通過が制限され、収入にも影響が出ていると話した。

2022年度の通航量は1万4000隻以上で、政府の年間歳入は25億ドル(約3300億円)に上った。

■水資源めぐり地元住民との対立も

当局が懸念するのは、航路を変更する海運会社が出てくることだ。

運河庁のホルヘ・キハノ(Jorge Quijano)元長官はAFPに、
「(運河に)水を供給する新たな貯水池がなければ、運河の発展が危ぶまれる」
「新たな水源確保が急務だ」と述べた。

一方で運河流域は、パナマの人口430万人の半数以上にとって水の供給源にもなっている。

複数の地域で水不足から給水制限が行われており、抗議運動が起きている。

パナマ市周辺では無秩序な都市化が進んでおり、運河と地元住民の間で
水資源をめぐる対立が起こりかねないと専門家は警告する。

パナマの気象・水文地質学研究所のルス・デカルサディージャ(Luz de Calzadilla)氏は
「全国的に雨が少ないが、通常の乾期の範囲内」とした上で、
エルニーニョ(El Nino)現象により、下半期も降水量が減少する可能性が高いと話した。