深刻な「レッドブルvsレッドブルの戦い」、ブランドイメージが大きく低下―中国

https://www.recordchina.co.jp/b912969-s25-c20-d0198.html

エナジードリンクとして知られるレッドブルは、中国では「RedBull 紅牛」として製造販売されてきた。

レッドブルを製造販売するタイ企業のT. C. ファーマシューティカル・インダストリーズ(以下、TCPI)は20日、吉林省高級人民法院(高裁)による中国の「紅牛」の製造販売を禁止する判決文を受け取ったことを明らかにした。

レッドブルは、オーストリア人起業家のディートリッヒ・マテシッツ氏とタイ人実業家のチャリアオ・ユーウィッタヤー氏の協力で誕生した。

チャリアオ氏がタイで販売していたエナジードリンクをマテシッツ氏が欧米人の嗜好にも合うように調整し、それぞれが欧米向けとタイ国内市場向けにレッドブルとして販売した。

1980年代後半のことだった。

レッドブルのライセンスを持つTCPIは、95年に中国企業の華彬集団と中国国内で合弁会社の中国紅牛を設立して、中国国内向けの「RedBull 紅牛」の製造販売を開始した。

問題が発生したのは2016年だった。

タイ側は20年と定められた権利付与期間が終了したと主張した。

華彬集団は合意された期間は50年間だったと主張した。

華彬集団は中国国内でのレッドブルの成功で大きく成功し、創業者の厳彬氏も巨大な資産を形成した。

厳氏は中国の“長者番付”である「胡潤百富榜」の18年版で、23位にランクインした。

なお、提携の合意の経緯を熟知していたはずのチャリアオ氏は、12年に他界していた。

TCPIは17年に華彬集団側を相手に、商標専用権を侵害したとして訴訟を起こした。

双方はその後、20件もの訴訟を起こした。

その結果、判決が出ては覆されるという「長期間訴訟合戦」が発生した。例えば、相当する深セン前海合作区人民法院(日本の地裁に相当する司法機関)は22年12月29日に、華彬集団側が主張する「50年合意」を認める判決を出している。TCPI側は、中国紅牛側の主張を、証拠文書について「故意に断片的に意味を抽出したもの」と厳しく反発して、断固として司法手続きにより自社の利益を守ると表明した。

TCPIと中国紅牛の対立が長引いたことで、中国のエナジードリンク市場は混乱した。

中国では現在、TCPIと中国紅牛による「紅牛」の4種だけなく、オーストラリアで製造されたレッドブルも販売されるようになった。

中国紅牛の中国におけるエナジードリンク市場でのシェアは、12年には82.1%だったが、21年には53.3%にまで低下した。

一方で、レッドブルとは関係のない後発組の東鵬特飲の市場シェアは、12年には4.7%だったが、21年には16.7%と大きく伸びた。

「レッドブルvsレッドブル」の激しい争いについては、販売チャンネルを混乱させ、ブランドイメージを大きく損ねる状況をもたらしたとする批判の声も強い。