経営不安に陥ったスイス金融大手、クレディ・スイス・グループの救済をめぐり、無価値になった同社の特殊な債券「AT1債」を保有し、損失を抱えた投資家が国内にもいる。金融庁によると、国内の投資家らに約1400億円が販売されていたという。

青山学院大学陸上競技部の原晋監督もその一人。スイス当局がAT1債の価値をなくしたことは「資本主義の根幹を揺るがした」と問題提起する。

クレディ救済で「投資巧者」も損失 なぜ、株より先に債券が紙切れに
 ――クレディのAT1債を購入したきっかけは何でしょうか。

「投資と言うとばくちのように聞こえてしまうかもしれませんが、一般の資産運用のつもりで、数年前から証券会社を通じて購入していました。ただ、AT1債自体は非常に複雑です。どういうもので、どういう時に無価値になるといった特約まで理解して買った人は少ないのではと思います。何が問題だったのかを今整理している段階です」

 ――現時点では何が問題だと思っていますか。

「世界に数ある金融商品の中で、なぜ複雑でリスクの高いクレディのAT1債を証券会社は国内に持ち込み、推奨していたのか疑問に思います。推奨するのであれば、顧客に対して特約のリスクを念押しするように社内で周知していたのか、組織としての責任をどのように感じているのかを知りたいです」

https://www.asahi.com/articles/ASR4W4CSVR4SULFA004.html