はんだ付け部の接触不良で制御棒落下、中性子急減で自動停止した高浜原発
斉藤 壮司 日経クロステック/日経ものづくり
2023.04.28

 関西電力の高浜原子力発電所4号機(福井県高浜町)が2023年1月30日に自動停止した事象の原因が明らかになってきた(図1)。

 同社が同年3月に公表した調査結果によると、制御棒駆動装置に電力を供給する電気ケーブルの一部における、はんだ付け部分の接触不良が原因とみられている1)。その結果、制御棒48本のうち1本が意図せず挿入され、異常を検知した原子炉が自動停止した。なお、同原子炉は同年3月25日に発電を再開している。

制御棒を支えるラッチ機構に「想定外」の事象

 加圧水型軽水炉(PWR)の高浜原発4号機は、原子炉容器の上部に制御棒駆動装置がある。炉心の上方から制御棒を出し入れしながら、出力を制御する仕組みだ。

 制御棒駆動装置には、制御棒を動かしたり支えたりするために、「可動ラッチ」と「保持ラッチ」の2種類のラッチ(爪)機構が備わっている(図2)。「可動ラッチと保持ラッチを交互に動かすことで、制御棒を上下に動かす仕組み」(関西電力)という。制御棒は支えがなければ重力で落下して炉心に挿入されるが、運転中はこのラッチ機構による支えによって、炉心から引き抜かれた状態を維持する。

 今回の事象では、制御棒駆動装置につながる電気ケーブルの一部で、はんだ付け部分に剥離が生じていた。その結果、同装置のコイルに供給される電流値が低下して保持ラッチが開放され、制御棒1本が炉心内に落下して挿入されたとみられている。それによって、中性子の量が急減する異常が検知されたため、残りの制御棒も全て自動で挿入され、原子炉の停止に至った。

※略※

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/nmc/18/00012/00263/