妻沼のいなり寿司が文化庁100年フードに・埼玉 - 産経ニュース
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地域に根付く食文化を評価する「文化庁100年フード」に、埼玉県熊谷市妻沼地域の「妻沼のいなり寿司」が、江戸時代以前から伝わる「伝統」の100年フードとして認定された。関係者は「郷土の自然食として、その新たな可能性を再認識したい」と話している。

妻沼のいなり寿司は、しょうゆと砂糖で煮込んだ油揚げに酢飯を詰め込み、他地域よりも長い俵型となっているのが特徴。通常、いなり3本と巻きずしを1人前として売られる。起源には諸説あるが、江戸時代に江戸で流行したいなりが、舟運により妻沼に伝わり、河岸で働く人々や妻沼聖天山の参拝者に喜ばれたのが始まりとされる。

戦後、全国のいなりの大きさが小さくなる中、聖天山にある国宝「歓喜院聖天堂」が建立された江戸時代中期に「茶屋 毛里川」として創業した「森川寿司」のほか、聖天山近くの「小林寿司」「聖天寿し」などが、江戸時代のままの長い形状を引き継ぎ、なお人気を誇っている。

県北地域の歴史に詳しい熊谷市立江南文化財センターの山下祐樹さんによると、かんぴょうを甘いしょうゆで煮たり、赤いショウガを加えて色合いのコントラストを出すなど、「シンプルながら、きめ細やかな技術を要する」という。

山下さんは、100年フードに選ばれただけでなく、「妻沼のいなり寿司」を地域資源として次世代に継承するため、「家庭料理としてのレシピ考案など、身近な食文化として共有する」「販売各店の伝統を継承するとともに、その意義や価値を発信し、世代を超えて全国的な認知度を高める」などを提案している。

100年フードは、県内では令和3年度に熊谷地域の菓子「五家宝」や行田市の「ゼリーフライ」、草加市の「草加せんべい」、4年度は「妻沼のいなり寿司」のほか、深谷市の「煮ぼうとう」、県西部の「狭山茶」が認定された。(兼松康)