韓国「155mm砲弾」30万発を米軍に貸与、ウクライナに回る?

5/1(月) 11:00配信

いつ終わるとも知れないウクライナ戦争。深刻な事態だが、結局は遠いヨーロッパでの出来事と感じているかもしれない。
ただ、その戦争の現場に、お隣、韓国の砲弾が持ち込まれていると聞けば驚くに違いない。

その砲弾は「155mm砲」と呼ばれるものだ。先端が尖った形をし、兵士が大型の発射台から手作業で撃つシーンを、
ニュースなどで見かけたこともあるだろう。戦争が起きたなら、被害が大きくなる地上戦ではなく、
戦闘機を繰り出して闘えばいいだろうと考えがちだ。ところが、ロシアはウクライナの地対空ミサイルを警戒して、戦闘機を飛ばさず、
あえて戦車を中核とした地上戦を展開している。

戦車の砲弾は通常射程が10キロ程度しかない。ウクライナは開けた平地が多いため、ウクライナ軍はロシア軍の戦車の動きを把握した上で、
射程が40キロほどある155mm砲弾を発射すれば、一方的に戦車を破壊できる。ウクライナはこうやって、ロシア軍の地上からの侵攻をなんとか防いでいるのだ。

▼1日3000発使用で在庫底を突く

問題は、桁違いの使用頻度だ。

米国防総省によると、ウクライナ軍だけで1日に約3千発の155mm砲弾が使用されているという。過去1年間で100万発以上消費したという推計さえある。
これまでは米国が100万発以上をウクライナに送ったものの、すでに在庫が底を突き、生産も間に合わなくなっている。

このため欧州連合(EU)が支援を表明。オースティン米国防長官も、新年度予算に米国内での弾薬生産能力を増強するめの費用を計上するなど、
生産に拍車をかけているが間に合わっていないのが実状だ。

そこで注目を浴びているのが、韓国。韓国は北朝鮮との地上戦に備え、155mm砲弾を大量に保有している。
韓国は日本と同様、戦争地域に自国の兵器を輸出しないという原則を持っているが、すでに10万発を米国に輸出している。

さらに米国からの再度の要請を受けた韓国の兵器メーカーが「新たに50万発を米国に貸与する契約を結んだ」(韓国、東亜日報)と報道されている。
あくまで「貸与」であり、新たに生産された砲弾を、いずれかの時点で米国から返してもらう。だから戦争地への輸出ではない、という都合のいい理屈だ。
先に輸出された韓国産の砲弾は、ハングルで書かれた製造番号、製造地などが消され、すでにウクライナに到着したとの報道(韓国のケーブルテレビJTBC)もある。
すでに戦闘で使われている可能性も指摘されている。

▼米政府の秘密文書にも155mm砲弾支援の記述が

この問題は思わぬ方面からも漏れ出した。

最近、オンラインで流出した米国政府の秘密文書の中に、米国が韓国に155mm砲弾を要請すればどのように対応するかをめぐり、
韓国の政権幹部の議論内容が含まれていた。この文書によれば、米国が韓国に要請した155mm砲弾量は33万発で、
これを韓国から欧州に移送するのに72日かかるという具体的な日程まで提示されていた。
尹錫悦大統領は、4月23日から米国を国賓訪問する計画で、「155mm砲弾の貸与」は、これに合わせて進められたものとみられている。
尹大統領自身、最近ロイター通信とのインタビューで、ウクライナへの支援をめぐり、
「民間人に対する大規模な攻撃など国際社会が容認できない状況が発生した場合、
人道的または財政的支援のみを主張するのは難しいかもしれない」と話し、ロシアの強い反発を招いている。

「国際社会が容認できない状況」という前提条件はあるものの、場合によっては公式に武器支援を行う可能性を示したものだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/4faead7814da1110bd35899f6bc4cc3682660d1d