「特定技能2号」大幅拡大へ 外国人労働者、永住に道 政府方針
「移民受け入れ」 保守派は反発か
https://digital.asahi.com/articles/ASR4R52NGR4QUTIL00F.html

望月優大(ライター) 2023年4月25日0時16分 投稿

2018年末の臨時国会で特定技能を創設した際から予想されていた流れです。

外国人労働者の受け入れ拡大については、それを進めてきたジ民党自身にとってのジレンマが
これまでもずっとありましたし今も変わらずあります。
つまり、支持基盤である経済界と保守勢力とでスタンスがかなり違うのです。
そして、そのあいだを取って両方を納得させてきた路線が「受け入れはするが定住はさせない」でした。
典型が上限年数(通常3年、最長5年)のある技能実習生としての受け入れです。

ですが、この政治的に選びとられた路線が機能し得るのはあくまで特定の条件が揃っているときだけです。
それは、日本の最低賃金で働きたいと考えるアジアの若者が大量に存在し、3年か5年で新旧の労働者を
ぐるぐる入れ替え続ければ日本社会が必要だと考える労働者を必要なだけ確保できるという条件です。
その条件が崩れつつあるのが現在だと言えるでしょう。

(略)
こう見ると、これが一過性の話ではなく、「一人あたりの在留可能年数」をひたひたと伸ばす道を
進んできた中での動きであることがわかるでしょう。短い期間でぐるぐる入れ替える形ではもはや回らない、
ならば一人あたりの時間をできるだけ長くするというわけです。
ですが、これは「受け入れはするが定住はさせない」というこれまでの路線から離れていく動きになりますし、
当然支持層の一部から反発を招きます。

そこで私が危惧するのは、主に雇用側の利益のために滞在年数を伸ばしながら、同時に保守派の反発を抑えるために、
生活者としての権利、定住する人間としての権利を蔑ろにするような既存のスタンスは維持するという
新たな「あいだの取り方」に帰着するシナリオです。

「受け入れはするが定住はさせない」は崩さざるを得ないので、「受け入れはするが二級市民として扱う」へとスライドする、
だから安心してほしい、心配しないでほしい、という感じでしょうか。