野球、世界的には「マイナー競技」 本場米国でも人気に伸び悩み

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、世界の野球ファンが、大谷翔平選手らの繰り広げる熱戦を楽しんだ。ただ、本場の米国でさえ、野球の「国民的娯楽」としての地位は安泰ではないという。どういうことなのか。

 Q エンゼルスの大谷翔平(しょうへい)選手の活躍(かつやく)が注目されている。そもそも大リーグが始まったのはいつなのか?

 A 1876年、8球団でナショナル・リーグが発足した。1901年には8球団によるアメリカン・リーグが創設されて、今の2リーグ制になった。その2年後にリーグで優勝したチームが対戦する初のワールドシリーズが開かれた。

 Q 球団の数は?

 A 61年にエンゼルスがア・リーグに参入するなど、これまで球団が増えたことが6回あった。今は本拠地(ほんきょち)が米国の29球団とカナダ1球団の計30球団で、各リーグに15球団ずつ分かれている。

 Q 米国民の間で圧倒的な人気がある?

 A 米国でベースボール(野球)はよく「国民的娯楽(ごらく)」と呼ばれる。1840年代から親しまれたと言われていて、南北戦争(1861~65年)の時も兵士が戦いの合間に野球を楽しみ、各地に野球文化を伝えたという説もある。

 ただ、米国で最も人気のあるプロスポーツは、アメリカンフットボールのNFLだ。米調査会社によると、優勝チームを決める2022年の「スーパーボウル」は、テレビなどで1・1億人以上が見た。次がバスケットボールのNBA。大リーグのMLBは3番手争いといわれている。

 Q どうして人気が落ちてしまったのか?

 A 試合時間が決まっていなくて長い割には、実際に選手がプレーしている時間が少ない点が指摘(してき)されている。世界的にみればマイナー競技だから伸(の)び悩(なや)んでいる、という意見もある。

 Q 「マイナー」とは?

 A 野球が盛んなのは北中米と、日韓(にっかん)など東アジアが中心だ。世界的に人気を集めているわけではないといった理由で、08年の北京大会を最後に五輪の正式競技から外れた。21年の東京大会では追加競技として一時的に復活したが、24年パリ大会では行われない。

 Q 世界中で楽しまれているわけではないのか?

 A 欧州(おうしゅう)やアフリカでは野球の認知度はまだまだ低い。世界野球ソフトボール連盟は、野球熱が世界中で高まるように、1チーム5人制でバットを使わず、男女混成でできる「ベースボール5」をつくった。26年のユース五輪で実施(じっし)される予定だ。

 大リーグ機構(MLB)も野球振興(しんこう)のために、06年からワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開催(かいさい)を始めた。(ニューヨーク=遠田寛生)

https://www.asahi.com/articles/ASR515VH8R51UHBI01Y.html