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高速道路の渋滞で「下道への迂回」は逆効果? 実践しているドライバーがあまりに少ない“渋滞対策の本質”

高速道路上に延々と連なるブレーキランプは、大型連休の風物詩である。2023年のゴールデンウイークも、例年どおり各地で大規模な渋滞が予想されている

 NEXCO各社の発表によれば、東名高速の秦野中井IC付近や、中央自動車道の相模湖IC付近、関越自動車道の高坂SA付近を筆頭に、「渋滞の名所」におけるピーク時間帯には40km〜50kmの渋滞が発生する見込みである。

 たまの連休に羽を伸ばすはずが、何時間もの足止めに予定は狂い、車内は険悪な雰囲気に……そうした事態はぜひとも避けたいところだ。渋滞のストレスを軽減するには、どんな対策がありうるだろうか。渋滞時における「抜け道」の有効性や、望ましい運転方法について考えてみたい。

下りは3日、上りは5日に混雑のピーク
 2023年のゴールデンウイークは、昭和の日にあたる4月29日(土・祝)からはじまり、5月7日(日)までの9日間。期間中の渋滞情報については、NEXCO東日本の「 渋滞予報ガイド 」など、高速道路各社が混雑区間やピーク時間帯についての予測を発表している。渋滞を避けるには、まずこうした事前情報を参考にしながら旅程を工夫しておきたい。

 中日の5月1日(月)と2日(火)は平日のため、混雑は3日(水・祝)からの後半5連休に集中する。下り線のピークは3日の朝から昼過ぎにかけて生じ、各地で30kmを超える渋滞が予想されている。ピークを回避するには、前日夜から早朝にかけて、あるいは当日夕方に渋滞多発ポイントを通過するプランが有効といえる。

 ただし、東名高速の秦野中井IC付近では、2日の22時前後から3日の18時頃まで混雑が緩和せず、30km〜45km規模の渋滞が続く見通し。3日に東京方面から御殿場方面へ向かう場合には、あらかじめ渋滞を考慮に入れてスケジュールを組んだ方がよさそうだ。

 一方、上り線のピークは5日(金・祝)の昼頃から夜にかけて発生し、やはり各地で30km超の渋滞が続く。6日(土)にも同様の時間帯に渋滞が発生するが、最終日の7日には大規模な混雑は予想されておらず、長時間の足止めを食う可能性は高くないとみられる。「最終日は自宅でゆっくり」という傾向が読み取れるので、これを逆手にとるのも回避策のひとつだろう。
下道での迂回は効果薄?
 もちろん、上のような情報を参考にピーク時間帯を避けたとしても、事故や故障車による混雑に巻き込まれる可能性は否めない。想定外の足止めにイラ立ち、ついつい下道に降りたくなることもあるだろう。しかし一般的に、場当たり的なルート変更はリスクが大きく、成功の目が少ない「分の悪い賭け」になる。

 下道よりも渋滞中の高速を進むべき主な理由として、「車速の高さ」が挙げられる。高速道路上の渋滞は、巡航時に比べ速度の落差が大きく、体感として「いつまでも進まない」ような気分になってしまう。しかし実際に平均車速をみると、一般道と遜色ないペースで進んでいることが珍しくないのだ。

 たとえば5月3日、関越道下りの高坂SA付近で予測されている渋滞は最大30kmであり、通過に1時間を要する見込みである。平均車速にすると時速30kmであり、これは埼玉県(さいたま市除く)の一般国道を昼間の混雑していない時間帯に走るペース(時速30.9km)と同等だ
その他の渋滞区間をみても、概ね時速20km〜25km程度のペースは維持できるものと考えられる。これはおおよそ、昼間の混雑していない時間帯に商業地域の国道を走るペース(全国平均:時速22.7km)と同程度とみておけばよいだろう。

 著しく車速が低下する渋滞としては、名神高速下りの旧山科BS付近や、上りの大津IC付近、中央道上りの小仏トンネル付近などがあり、ピーク時で時速12km〜15kmになる。これは東京23区の商業地域を混雑時に走行するペース(時速13.8km)に近い。

 こうした数字をふまえると、下道に降りる戦略が奏功するケースというのは限られていることがわかる。一般道においても大規模な混雑が予想されるゴールデンウイーク期間であればなおのこと、インター付近での渋滞なども影響し、かえって到着時刻が遅くなることも十分に考えられる。